時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

2014-01-01から1年間の記事一覧

「一歩を踏み出す勇気の大切さに気付いた出来事」

日本には13年近く帰っていません。 年2回のブエノスアイレスでの日本語教師研修会は3年参加していません。 友人の住む160km先の町にも10年行っていません。 春と秋の登山も行かなくなって何年経ったのでしょうか・・・。 お隣の都市バリローチェ…

「お別れの言葉は何時だって”ありがとう”」

私は毎日夢を見ます。夢で色んな所に行き、色んな人に会い、過去へも未来へも行きます。空を飛んだり、水の上を歩いたりもします。もう一年くらい前になりますが、あまりに鮮明でずっと忘れられない夢があります。 私は草原を歩いていました。草は枯れて黄色…

「根曲がりたけの命の力を分けてもらう春」

今年も根曲がりたけのタケノコの季節が廻って来ました。パタゴニアでは寒くて竹は育ちません。でも根曲がりたけは沢山生息しています。 我が家の敷地内にも多くの群生があります。 数年前、パタゴニアでは広範囲でこの根曲がりたけに花が咲き、枯れました。…

「緑のトンネルを通りながら」

「うわあ〜きれい!トンネルみたい!」 我が家の道を初めて通った4歳の男の子が嬉しそうに叫びました。 車や人が通れるぎりぎりの所しか枝を払ったり草を刈ったりしない我が家の道で す。道の両脇には野茨や根曲がりたけなどが壁を作り、大きく育った木は、…

「覚悟なんて出来ないから、今を大切にするしかないと悟った日」

私には大切なアルゼンチンでの家族が居ます。 それは3匹の犬と3匹の猫です。 一番年長が12才の猫の「福」。年少が4歳の犬の「お豆」です。20年のアルゼンチン生活で、一緒に暮らしたのは猫、犬、ウサギ、ヤギ、鶏、アヒル。 私の腕の中で息を引き取っ…

「花いっぱい、夢いっぱい、パタゴニアに春が来た」

暖冬だったせいか今年は春が早いと感じていましたが、ずっと気温が上がらず結 局寒い春となっていました。 ところが10月にはいってから、日中の気温がぐんぐん上がり一斉に果樹の花が咲 き始めました。 今満開なのは、サクランボ、ボケ、プラム、パタゴニア…

「料理下手な私の作る手作り味噌が美味しい訳」

私は料理が下手です。たまに稀に「美味しい」と言ってくれる方も居ますが、もし毎日私の料理を食べる事になったら、その感想は違ったものになるで しょう。 面と向かって「まずい」と言われる事もあります。むっときたり、落ち込んだりもしますが、「よーし…

「秋生まれの私が、春に年を取る感慨にふける」

個人的な事ですが、今月初めになんと52歳になりました。 自分の年齢を文字にして、その重さに「ぎょっ!」としています。 老眼、薄毛、しみしわなどの老化現象はあるのに、子供が居ないのでその成長で 年を実感する事も無く、人間的には全然熟成されていま…

「消えた。無くなった。心が痛い。」

この冬は暖冬でしたが、雨やじめじめした日が多く、ぬかるみの農場を歩くのが億劫で朝夕の犬たちとの散歩もしていませんでした。足から体力は衰えると聞い ていましたから、歩かなければ・・・と思ってはいましたが、何かと自分に言い 訳をして散歩をしませ…

「消えた。無くなった。でも気持が軽くなった。」

先日、犬のパクの似顔絵を描こうと思い、PCの写真フォルダを開けて目が点になりました。 フォルダの中身が空っぽになっていたのです。 えっ?? しばらくは状況が把握できませんでした。 何にもない? どうして?写真はこのPCを買った4年前から保存していた…

「雪が降る。いろんな思いが交差する。」

今年は暖冬です。スキー場にも雪がありません。 冬の観光事業として、スキー場開発に力を注いでいるエルボルソン市には申し訳ないのですが、私は半分ほっとしています。 観光業で儲けようとすると、どうしても自然破壊につながります。 自然を売り物にしてい…

「寒い冬は鍋が一番。パタゴニアで日本の味を楽しむ幸せ」

暑い夏を迎えているであろう北半球の方には、更に暑い気分にさせてしまいそうで申し訳ないのですが、今回は鍋料理のお話。 冬の代表野菜といえば、大根、白菜でしょうか?どちらも我が家の畑で時期を変え、場所を変え、何度も挑戦しましたが、土と気候が余程…

「電気は有難いとしみじみ感じた日々」

停電は珍しい事ではありません。月に2,3回は停電します。でも以前の様に一日中と言う事はなく、数時間で復旧します。単純な私は、停電の後電気 が来ると、電気会社頑張ってるなあ、と感動しています。 この間の日曜日もお昼近くに停電しました。この時は電…

「ワールドカップは始まったけれど」

日本人にアルゼンチンで連想する事を挙げてもらうと、殆どの人がサッカーと言います。これは1986年メキシコワールドカップでのマラドーナの印 象が強いからでしょうか。私の様にサッカーに全く興味が無かった者でも、マラドーナの名前だけは知っていたので、…

「森に響くフクロウの声が聞こえるように」

もう何年も前、まだ周りにこんなに家が無く人口の少なかった頃、我が家の林にはフクロウが住んでいました。 朝の散歩の途中、南極ブナの枝に止まった大きなフクロウが、瞬きもせず私を見つめていた事がありました。 生まれて初めて見た野生のフクロウでした…

「有言実行。髪、生やすぞ!」

尊敬する人が難病と闘っています。 今のところ命に別条はないそうですが、進行が早く非常に発病率の低い病気で、それだけに治療法も見つかっておらず、とても辛そうです。 私は簡単に「辛そう」と書けますが、本人の気持ちはそんな3文字の言葉では表現でき…

「すみません。私が日本を代表しっちゃてます。」

4月からずっと曇り、雨、風のどんよりした日が続いています。もう少し薪の準備をしたいのですが、この悪天候では外仕事がなかなか出来ません。山 の紅葉も鮮やかさが少し足りなかった気がします。 農場では果樹の葉も散り、落ち葉の黄色の絨毯が雨にぬれて…

「これこそアルゼンチンらしい豪快大雑把野菜バーベキュー」

「そのがさつさ、いい加減さ、心配り、思いやりの無さ。お前は絶対日本では暮らせない。」 時々言われます。 その度物凄く落ち込んだり、むかっときたり、そうかもなあと納得したりしています。 かと言ってアルゼンチンが好きで好きで、アルゼンチンに同化し…

「誰の為でも無く豊かに実る果実達」

何度も書きましたが、今秋、我が家の果樹には殆ど実りがありませんでした。これはきっと他の場所でも同じだろうと思っていたのですが、エルボルソンやもっと標高が低く温暖な地区では例年にない豊作だったとか。 先日我が家から30kmほど離れた友人の農場…

「パタゴニアの秋の夕焼けは黄色く明るいんです」

パタゴニアは秋を迎えています。 我が家では果実の収穫がありませんでしたが、もっと標高の低い地区では例年にない豊作だとか。町の八百屋に地元のりんご、洋梨、桃、栗、クルミ が山の様に積まれています。 またジャガイモも30kg、50kgの袋売りして…

「パタゴニアの奇跡のリンゴが・・・」

今夏は果実の収穫が無く、寂しい秋を迎えようとしています。昨年も収穫が悪かったのですが、それでも今年の様に殆ど無しという訳ではありませんでした。 春から初夏、リンゴもスモモも花梨も木イチゴもサクランボもプラムも、みんな見事に花を咲かせてくれて…

「タダより高いものは無い」

顔が悪い。 性格が悪い。 頭が悪い。 目が悪い。 記憶力が悪い。 私の悪いところは山ほどありますが、目下一番の悩みは「歯が悪い」事です。体の不調はただただ寝る事で復活できますが、虫歯だけはどうにもなりません。 詰め物が取れるのはもう年中行事。こ…

「やっぱり日本人は梅干しが懐かしい」

エルボルソンはアルゼンチンでも有名なヒッピーの町だからでしょうか?菜食主義者が多く、健康食品店が5軒はあります。健康食というと日本食というイメージがあるのか、お金さえあれば日本食には困りません。 醤油、味噌、豆腐、ワサビは当然の事。のり、わ…

「恐怖のシロアリ侵略」

「わお〜!凄い数の蜻蛉が飛んでいる。」 ある夜の事です。どこから何時の間に入ってきたのか、気が付くと家中に羽虫が飛びまわっているのです。こんなこと初めてでした。夏でも日が暮れると 肌寒くなるパタゴニアです。ハエは居ますが、蚊やゴキブリに悩ま…

「エルボルソン市でアルゼンチン・パタゴニアの芸術を楽しもう」

エルボルソンはビールの原料ホップや木イチゴなどのベリー類の産地ですが、それらは小規模個人経営でそれが町の主産業と言うわけではありませ ん。アンデス山脈に囲まれ、河や湖がある風景を売りに避暑地、アウトドア、トレッキングの町として観光に力を注い…

「2014年の始まりに思う事」

人間五十年 下天の内にくらぶれば 夢幻のごとくなり織田信長が何時も舞い謡ったという敦盛の一番。別に能に興味がある訳でも、織田信長を尊敬している訳でもありませんが、この一節はずっと心の中に引っ掛かっていました。 本来の解釈とはかけ離れているのか…