時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

2009-01-01から1年間の記事一覧

「お恥ずかしいお話ですが・・・」

以前にも何回か書きましたが、我が家に電話はありません。当然コンピューターも接続できません。夫が日本に帰国した折、ノートパソコンを日本の家族の援助で購入することが出来ました。アルゼンチン持込の時は空港の税関でかなりもめて、思わぬ出費をする羽…

「ジャオジャオきのこ」

初めて見た時、私はそれが何か分かりませんでした。南極ブナの幹に、オレンジ色のぶにょぶにょした丸い物が幾つもくっついていたのです。一瞬蛙の卵かと思いましたが、私達の農場には寒すぎるのか、蛙は住んでいません。そしてそれは、最初はぶにょぶにょだ…

「蜘蛛の糸」

小学6年生の時、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」を、国語の時間に読みました。地獄に落ちた“かんだた”ですが、生前蜘蛛を殺さずに助けた事があったので、お釈迦様は蜘蛛の糸を垂らして彼を助け様とします。けれども“かんだた”は、自分の蜘蛛の糸にすがって登ってく…

「のうじょう真人 交通事情」

私達が住んでいるのは、エルボルソン市マジンアオガード地区という所です。アンデス山脈の麓の村と言えば「のどかで静かで自然の多い美しい村」と殆どの人が想像するようですが、実際はラテン国らしくがちゃがちゃとしていてうるさく、緑の濃い静かな日本の…

「のうじょう真人の通信事情」

嘘みたいな本当のお話ですが、我が家には電話が有りません。これは地形的に我が家にだけ電波が届かないのです。自費でアンテナを建てれば何とかなると電話局の人に言われましたが、その費用を聞いてあっさり諦めました。日本の家族の援助でノートパソコンは…

「新型インフルエンザ」

「アルゼンチンは新型インフルエンザで大変な様ですが、お二人は大丈夫ですか?」と日本からメールを頂き、正直驚いてしまいました。良いのか悪いのか、私達の家はネットも接続出来ず、テレビも電話も無く、短波日本語放送も最近では入らず、新聞配達も来な…

「思いを集める」

忘れられない味があります。今までで一番美味しいと思い、今でもそう思っています。それは15年前にのうじょう真人で初めて収穫した「林檎」です。引っ越した当時、近所の農場にはたわわに実を付けた林檎やカリンの果樹があるのに、我が家には栽培木イチゴ畑…

「ポレンタPolentaを食べてみましょう」

アルゼンチンの代表料理と言えば、なんと言ってもアサードです。次がミラネサ。そしてエンパナーダやピザ、以前紹介したチョリパン、パンチョと続きます。広い国アルゼンチンですが、国民はヨーロッパ移民が主で、そう言う意味では歴史も浅く、郷土料理とい…

「薪ストーブ」

日本の友人が時々、日本の番組やドラマのDVDを送ってくれます。それを見るのは、テレビの無い私達には、現在の日本を知るとても貴重で楽しい時間です。先日は日本で田舎暮らしを始めた人達の特集を見ました。15年前、農業と田舎暮らしをしたいとアルゼンチン…

「触らぬ神に祟り無し」

アルゼンチンは面白い国です。他のラテン国と比べても、かなり雰囲気が違います。この国に居て感動する事は沢山あります。でも、理不尽な怒りや不快感で頭の線が切れそうになることも度々あります。アルゼンチンが好きで、パタゴニアが好きで、南米が好きで…

「ローズヒップの産地」

おそらく日本でも、ローズヒップの化粧品や石鹸、お茶は手にはいると思います。日本の友人のメールでは自然志向の高級品で、随分おしゃれな商品だと言うことですが・・・?パタゴニア、特に私の住む南緯42度地区では、今このローズヒップの実が真っ赤に熟し…

「大切な出会い」

毎年毎年、4月は大きなバケツを持って農場散歩をするのが日課でした。それはニョキニョキ顔を出す「松きのこ(ヌメリイグチダケ)」を収穫するためです。毎朝見落としが無いように、いつもは歩かない場所にまで足を延ばしバケツ一杯、時には入り切らなくて二…

「山を歩こう」

観光客で賑わっていた町も、夏の終わりと共に少しずつ落ち着きを取り戻しています。人と車の多さ、暑さと乾燥で、クリスマスから3月いっぱいは何処にいても息が詰まりそうでしたが、4月に入りやっと心にゆとりが生まれてきました。薪の準備も一段落して十分…

「パタゴニアの自然農法」

昨年の8月に亡くなった福岡正信氏の一番弟子とも言えるギリシャのパノス氏が、乾燥地緑化と自然農法の指導に一ヶ月間アルゼンチンに来て下さり、パタゴニア(ネウケン州、リオネグロ州、チュブット州)には3月3日から13日まで滞在されました。3日と12日は我…

「チョリパン」

今回もまた食べ物のお話を。作り方を書くと「パンにソーセージを挟む」と同じ説明になるのですが、前回の「パンチョ」と今回の「チョリパン」は全く違います。もしパンチョを食べながら「このチョリパン美味しいね。」などとポルテーニョの前で言おう物なら…

「パンチョ(Pancho)」

アルゼンチンを代表するマテ茶やアサード、ミラネサなどの事を以前書きましたが、今回もまた食べ物のお話を。写真をご覧になったら「なあんだ、ホットドックじゃないの?」と思われる方も多いでしょう。実はそうなんです。でも、こちらでは「パンチョ」と呼…

「パタゴニアで日本食は如何ですか?」

アルゼンチンではここ数年「日本」ブームです。寿司や天麩羅などの日本食は勿論、漫画、アニメの人気は驚く程です。首都のブエノスアイレスでは日本語教室がいつも満員御礼の状態だとか。アルゼンチンには結構多い「日本人嫌い」という人が減った訳ではあり…

「山火事」

パタゴニアに暮らし15年近い年月が流れました。日本よりゆっくりした時の流れの中に暮らしていても、気が付くと多くの事が変わっていて驚きます。のうじょう真人の木々が成長した事、実のなる木が増えた事、新しい友人が出来た事、日本との連絡手段がスムー…

「パタゴニアの太陽」

パタゴニアはおそらく、人の数より羊の数の方が多いでしょう。ここ数年で通信状況が激変し、電話を持っている家庭は増えましたが、コンピューターを持っているのはまだ海外移住者やお店、貸別荘などの一部の人だけです。電化製品も冷蔵庫やテレビ、洗濯機く…