時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

「エルボルソン市でアルゼンチン・パタゴニアの芸術を楽しもう」

エルボルソンはビールの原料ホップや木イチゴなどのベリー類の産地ですが、それらは小規模個人経営でそれが町の主産業と言うわけではありませ ん。アンデス山脈に囲まれ、河や湖がある風景を売りに避暑地、アウトドア、トレッキングの町として観光に力を注いでいます。
観光地に住んでいながら、観光客が押し寄せる夏が大嫌いで、観光の為に山を切り開きスキー場や遊歩道を作る事も、四輪バギーやマウンテンバイ クで河を横切り森を走り回る事も、登山客の快適さの為に山小屋に温水シャワーを付ける事も、兎に角町が推進するありとあらゆる観光誘致に反対の偏屈ばあさんの私は、エルボルソンの見どころとかツアーとかお勧めレストランとかお祭り開催日とかに興味もなく、有益な情報は何一つ提供できません。これではいけないなあ・・・と思っては居るのですが、面倒くさがり屋で出不精で人混みが苦手でスペイン語が出来ない事を理由に結局何も調べません。そ んな私ですが、大切なお客様の滞在を機に、案内で町のシンボル的な山ピルテュリキトロン(Cerro Pilturiquitoron2260m)の展望台に行ってきました。
幸いまだ観光シーズン前でしたから、狭い山道も対向車に殆ど出会わず、何とか私の運転でも辿り着く事が出来ました。が・・・同乗者さんたちは私の下手くそ運転にハラハラドキドキ緊張していたと思います。
駐車場が展望台を兼ねていて、標高はおよそ1000m。エルボルソンやお隣のラゴプエロの町、それを取り囲むアンデス山脈が一望できます。またここはパラグライダーの離陸 地点にもなっており、風に乗って飛ぶ姿を間近に見る事も出来ます。ここでお弁当を広げのんびりお昼寝も良いですが、ここから徒歩で山道を20分ほど登ると、観光局推薦の芸術の森があります。
もう20年以上も前山火事があり、原生林が燃えました。10年ほど前、町の彫刻家有志がその焼けた大木を彫刻し、そこを彫刻の森 (bosque tallado)としているのです。
山小屋までの登山道の途中にあり、だらだらとした登りが続くだけの難しい登山でもないので、夏は列になるくらい観光客が訪れます。
入場料が必要で、何度か登山で前を通りましたが、正直言ってお金を払ってまで見る気にならず入った事はありませんでした。今回も素通りで山小 屋まで行こうとしたら、管理小屋からお兄さんが出て来て呼び止められました。
なんでもここから先登山するなら、登山帳に記名しなければいけないとか。しかも同行者が若くて可愛い日本人女性だった事もあってか「まだ観光 シーズンじゃないし、無料で良いから寄って行きなよ。」と言ってくれました。
こんなチャンスはそうそうありません。厚かましいおばさんは彼女より先に「ありがとう」と早速入ってみました。
感想・・・・
「いかにもアルゼンチン、いやエルボルソンらしいセンス!」
「見晴らしは素晴らしい」

彫刻は殆どをチェーンソーで行い、仕上げはニスを塗ってテカテカにします。日本ではあまりお目にかかれない作品群だと感じました。感性や感覚 は人それぞれですから、「素晴らしい。感動した。」と言う方も居れば、「入場料損した。」と感じる方も居るでしょう。
私は、”本当にエルボルソンの芸術家さんたちの特徴を表現している。”と感心しました。

この彫刻の森。12月末から2月末まで、かなりの観光客が訪れ山道は土埃と人で一杯になります。また1月はブヨが多くいます。木も少なく、帽 子や長袖などの直射日光対策が必要です。また歩きやすい靴で、飲み水を持って登るのは最低常識です。途中運が良ければアカゲラに出会えます。
町から展望台(駐車場)までの交通手段は自動車だけです。歩いていく事も出来ますが、かなりきついですから覚悟して下さい。
そして訪れた方。是非正直な感想をお聞かせ下さい。お待ちしています。