ボランティアいろいろ - 時子のパタゴニア便り

夏にボランティアを受け入れ作業をしてもらうようになって4シーズンが過ぎました。

常に人が自分の生活の中にいる事は正直疲れることもあります。でも気負わず、見栄を張らず、私は私の暮らしを私らしくしていけば良いんだと思うようになって、若者たちと接する事が楽しくなってきました。

最初はwork awayというネットサービスを通じて、連絡のあったボランティアを受け入れていましたが、次第に友人や来てくれたボランティアからの紹介で連絡してくる人が増えました。

パタゴニアの田舎で暮らす日本人移住者という不思議なおばさんのところへボランティアに来ようと思うのは、日本大好きとか、日本文化に興味あるとかの好奇心の強い若者が多いので、打ち解けるのにそう時間はかかりませんでした。

でもほとんどが農業経験なしで、薪準備や畑仕事は慣れてもらうのに少し時間がかかります。また得手不得手もあるので、何が一番能力を発揮できて楽しんでもらえるかを考えるのも大切です。

ただ時々びっくりするようなボランティアもやって来ます。

今回はそんな度肝を抜いたボランティア達を紹介します。

今年9月末に来た女性。畑の準備を中心にやって貰ったのですが、貸した小さなスコップを失くしたのです。でも如何して、どうやったら失くせるのか不思議な状況で、2人で探したのですが見つかりません。すると彼女

「これはミステリーだわ。」「責任感ある私が失くす訳ないもの」「きっと誰かが無断で持って行ったのよ」(誰も居なかったのですが)

私がこれ見よがしにため息をついても平気。3日後には「トキコ、いいこと教えてあげる。もしスコップが見つかって錆びていたら、コーラで磨くといいわよ。」とさも自慢げに言うのです。

結局1ヶ月後、彼女がいなくなってから、土のかなり下で見つかり、錆びてもいなかったのでホッとしました。

他にも、ボランティア家の普通は４カ月以上もつガスボンベを3日で使い切ったり、朝1時間以上の遅刻も「おっはよ～」とあっけらかんと現れたり。

お喋りで、でも彼女の言葉がほとんど理解できないので適当に相槌だけ打っていても、基本的には人の話を聞いていないから全然困らなかったり。

外仕事には向かなかったけど、家中の窓ガラス拭きと障子の張り替えは張り切ってしてくれました。

若い男性の場合は力で仕事する事が多く、日本製のノコギリは力を入れず引けばいいと教えても、グイグイ押して(こちらはノコギリは押すのです)刃を折ったり歪めたりします。これは女性用のノコギリだ。と文句を言った人もいます。酷かったのはトントン小さく叩いて替え刃をしようとしているのを見たロシア人男性が、貸してみろと言うので貸したら、思いっきり打ちつけ、大切な日本製の柄を折ってしまったのです。これは仕事は力と思い込んでいる彼に貸してしまった100%私のミス。物凄く痛い勉強になりました。

いかに無理なく、自然の法則に従って仕事するのが大切か話しても、力と根性だ！と思い込んで理解できない人もいるので、アルゼンチン製の頑丈なノコギリを買いましたが、これが思っていた以上に使い勝手が良かったです。

ずるい人は今日はお腹が痛いと言うので、家で休んでいいよと言ったら、家の中でネットを見ながら持参のスナック菓子を食べていたり、冷蔵庫や戸棚から昼食用に用意していた物を勝手に食べたり使ったり、綺麗な袋をゴミ袋として全部使ってしまったり。

仕舞ってあっても探して、有るものは全部使っていい、食べていいとごく自然に思っているからでしょう。この感覚は年寄りの私には無かったので、驚きでした。

お客さんや男性がいても、シャワー後バスタオルを巻いただけの姿で現れた女の子には私が赤くなってしまいました。

高額だったのはミキサーを壊されてしまった事。

他にも小さな驚きは一杯ありますが、その度に新しい事を学んでいけます。最初の一年はイライラする事もあって尾を引いていたけれど、これもそれも今では笑える思い出に変わりました。

人間怒らない事が一番。笑う事が一番。それを身をもって教えてもらいました。

それにボランティア達の協力は、欠かせないものになっています。

また自分を見直したり、知らない事を学んだり、感動したり、一緒に喜んだり、悩んだり、1人では出来ない多くの感情を与えてもらいました。

特に今期は日本語で話せるボランティアが3人も来てくれて、心に残る年となりました。

いつまで笑っていられるか正直分かりません。

でも今は笑えます。だから笑っていようと思います。