時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

2006-01-01から1年間の記事一覧

発芽

3月に 10歳になる愛犬「羅空らくう」。咬み癖、放浪癖があったので、日中仕方なく繋いで おくと、高い所の好きな羅空の為に運んで来た、直径50cm高さ80cm程のシプレスの切 り株の上でいつも過ごしていました。その羅空も年と共に落ち着き、殆どを家の中で 過…

マイテン

月に一度か二度、時間を見つけて焼き物の「土と石」探しを兼 ね、夫と愛犬「羅空」と一緒に、車での日帰り旅行をします。 日帰りと言って も、往復500kmはざらの結構ハードな旅です。しかも、行く先の殆どがパタゴニアの 乾燥地帯。炎天下、砂埃の舞う土道を…

インコ

これは 少し前のお話。 今年は春先に低温となり、例年より、花の開花が遅れていた気が します。のうじょう真人で最初に咲くのは、あちこちに植えた「水仙」です。毎朝の 霜に凍りながらも、少しずつ黄色い蕾を膨らませていく様子に、私は「春」の覚悟を しま…

出会い

簿記の専門学校を卒業して、一年だけのつもりで北海道の酪農実習に行き、初めて自分から「学びたい」と思い、二十歳で改めて北海道の農業専門学校に入学しました。 初めての寮生活。 年下の現役入学者だけでなく、社会人経験者、大学卒業者、ブラジルからの…

今年は気持ち悪いくらいの暖冬で、雪も雨もあまり降りませんでしたが、春先になって、急に真冬に逆戻りしたような寒さがやって来ました。ずっと地面が凍っていた為、例年より2週間近く遅れて、「空豆」「エンドウ豆」の種まきをしました。種を播いた後も、霜…

たみっこ

先日、雌猫「たみっこ」を避妊手術に連れて行きました。 すでに9匹の猫と同居している我が家。猫は好きですし、人間側の理由で避妊するなんて酷い事だと思いますが、責任を持って暮らせる数の限界を越えつつあるので、申し訳ないと思いつつ、獣医さんの所に…

焼き物

子供の頃や20代の頃の事は、あまり思い出さないようにしています。でも、知らず知らずにその頃の自分を思い出し、「ああ、嫌な奴」とか「本当に、ひねくれている」とか独り言を言って“はっ”と我に返り、一人で赤面しています。 あの頃は自分を「真面目で大人…

バンドリア

私はパタゴニアの四季の中で冬が一番好きです。 理由はいろいろありますが、一番の理由は雨や雪が多くて寒く、この時期には外仕事があまり出来無いからです。チェーンソーで木を伐る音、道路を直すトラクターの音、家を作る建築音、それらの人達が垂れ流す私…

毎年、毎冬、エルボルソンやマジン村、周りの町では「あっけな滝」「あっけな川」が増えています。「あっけな滝」「あっけな川」とは私が名付けたのですが、雨が降ると現れ、雨が止むと姿を消す、とても「あっけない」滝と川なのです。 一晩雨が続くと、直ぐ…

キクイモ

2006/07/13 キクイモ 温暖化はここパタゴニアでも例外ではありません。 久しぶりに「雪の多い、厳しい冬」が来るかと楽しみにしていた私の予想を大きく覆し、気持ち悪いくらい暖かな冬が続いています。でも、この暖冬のお陰で地面が凍結せず、冬の貴重な食料…

どんぐり

秋から初冬にかけて、町に下り時間が有ると、私達は市役所に行きます。けれども建物の中には入らず、駐車場横の大きな「ミズナラ」に直行します。のうじょう真人の毎年の大切な行事の一つである「ドングリ拾い」をするためです。 これは1996年から約2年、の…

天和

思い出す事が多すぎて、どんな風に表現していいのかまだ分かりません。 4月16日未明、犬の天和(てんほう)が逝ってしまいました。 15日は雲一つない秋晴れのとても綺麗な一日でした。農場中のポプラや果樹が黄金色に染まり、静かな風に輝きながら舞い落ちて…

問題

「チーナ」 8歳と10歳くらいの兄妹が私を見つけ、車の窓を開けて叫びました。 「えっ?」 驚いて振り返ると、悪びれる様子も無く、その子達はにやにや笑いながら 「チーナ、アフエラ」と再び叫びました。 この場合「チーナ、アフエラ」とは、どう好意的に解…

「自然を大切に」

「自然を大切に」「自然を守ろう」 ボルソンの観光地、山や湖で良く見かける看板です。 正直言って、私はその看板を見る度、白けた腹立たしい気持ちがするのです。それは「自然を守ろう、大切にしよう」と言うその言葉が、表面だけの心の籠もらない言葉に思…

アンデスの山

秋も深まり、山も里も見事に紅葉しています。 年が明けてから、個人的に落ち込む事が多くあり、悲しい別れも続きました。私の嫌な性格で、被害者妄想がどんどん広がり、ますます気持ちが暗く沈んでいました。そんな時、日本から一ヶ月の予定でホームスティの…

“種”を播く

「明日世界が滅びるとしても、今日、君はリンゴの木を植える」 これは作家、故開高健氏が、「オーパ」シリーズの旅の同行料理人、谷口博之氏に贈った最初の言葉だそうです。開高氏自身の言葉なのか、引用なのか分かりませんが、私はこの言葉と最近出会い、と…

たま

3月4日、午前10時過ぎ。オス猫「たま」が静かに息を引き取りました。 我が家に来て8年と24日。9歳にも満たない年齢は、寿命と言うのは短すぎる気がします。「野生児“たま”」と呼んでいた位、甘えたり、じゃれたりする事がない猫でした。 マイペースで肝が据…

先日、数年前から立ち枯れしていた「シプレス(日本のヒバに似ています。)」の大木を切り倒しました。立ち枯れの木は強風や雪に耐えられず、思わぬ時に倒れてしまい危険なので「早く伐らなきゃ」と思いつつ、高さ約30m、幹の直径80cm以上の大木。作業の大変…

私は冬が好きです。特に厳しく長いパタゴニアの冬が好きです。 もともと暑さより寒さの方が体に合っていましたが、観光客で溢れかえり、雑音や車、ゴミが増え、山火事の起こるカラカラのパタゴニアの夏を過ごす内、静かで雨が多い冬が益々好きになりました。…

初物

「雨よ降って下さい。」 「どうか山火事にならないで。」 カラカラに乾いた空気の中で、立ち枯れを始めてしまった草達を見ながら、毎日祈る様な気持ちで雨雲のやって来るアンデス山脈の谷間に手を合わせる。そんな1月をずっと過ごして来ました。ところが、今…

初夢

私は、何処でも、ほんの数分のうたた寝でも、眠ると必ず夢を見ます。しかも、その殆どが色付きで、目覚めてからもかなりハッキリ覚えています。 中学の時、眠ったと思ったら直ぐ目が覚め、何気なく時計を見て朝になっていたのにとても驚いた事があります。唯…