時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

2026年の始まりに

新しい年の始まりです。

今年もよろしくお願いします。

寒い夏から一転して暑い夏に変わりました。日中は太陽がきつくてとても外には居られません。でも湿気が少ない分、早朝は肌寒いくらいで、日中でも日陰は過ごしやすいです。

元旦と言ってもこちらはクリスマスが一大イベントで、1日は祝日だけれども、2日からごく普通の日常が始まります。大乾燥で山火事も発生しているので、大晦日恒例の火を使う爆竹大騒ぎは殆どありませんでした。これを喜んでいる人、特に音に敏感で怖がる犬を飼っている人は大歓迎しています。

我が家でも、以前は涎を流しブルブル震えて怖がるワンコがいましたが、今居る4匹のワン達は雷も爆竹も平気でヘソ天でいびきをかいて寝ています。

除夜の鐘、年越しそば、餅つき、初詣、おせち、お雑煮、年賀状、すごろくや羽つき等のお正月遊び、書き初め…

一体今どのくらい残っているのか分かりませんが、そういう事が懐かしいと感じる歳になってきました。

波はあっても上昇気流が続いていくこと間違いなしと、日本の友人から応援メッセージが届きました。

そうです。今年は昇っていくだけです。火事以降知った、多くの優しい人達の気持ちが私を支え、上へ上へと押し上げ、引っ張ってくれています。

2月には農場へ引っ越しできそうです。みんなの愛の詰まった家と農場でゆっくり前へ進んで行きます。

全ての生きとし生けるものが、健康で優しさに満ちた生活が出来ますように。今を楽しみ幸せだと感謝できますように。

今年もよろしくお願いします。

写真はこちらのパーティ料理ピオノノです。ハムやチーズの入った甘くないロールケーキです。新年に友人が作ってくれました。

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2025年ありがとうございました

 2025年ももう終わろうとしています。時が経つのが早くて速くて、人の一生なんてあっという間だと、最近しみじみと感じています。

先週から曇りで風も強く、一日中寒くセーターを着込んでも身体が強張って動けずにいます。暦の上では夏なのに、この寒さは一体何なんでしょう? 自分の中のエネルギーが少なくなって来ている警告なのかもしれません。

増築は年内には終わりません。友人大工さんは年末から2カ月日本へ行き施工がストップしてしまうので、残りの仕事、窓、扉、台所流しや調理台作り、屋根張りは業者さんに頼むことにしました。でも資金が底をつくので、土地の一部を売る決意をしました。

三十年私を守り包み込んでくれた大好きな場所を、たとえ焼けてしまっていても、手放すのは寂しく申し訳なさで一杯です。でも私が愛した以上にこの土地を愛してくれる人、私以上に大切に守り育んでくれる人が現れるから、こういう結果、決断になったのだと信じます。

と言う訳で、クリスマスも新年もボルソンで過ごす事になりました。今避難させてもらっている友人がクリスマスパーティに招待してくれるのが目に見えていますが、こちらではクリスマスイブは家族が集まってパーティをする大切な日。

時子さんは家族だからと言ってくれますが、夜と人の集まる場所、スペイン語の苦手な私は、この日は犬達を連れ農場に戻って、窓も扉もないスカスカな家で静かに過ごそうか…なんて薄情な事を考えています。

私にとって年末年始のシンボルというべきアンデスヤマユリ、アマンカイが、ボルソンの避難している農場で満開です。ここより寒いマジンの農場では蕾が開きかけているでしょう。

一緒に生きている今を、自然達と喜び、感謝していきたいと思います。

良い年末年始をお過ごしください。いつもありがとうございます。

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何処から来たの?

連日30度近くまで気温が上がり暑さでぐったりしています。日本と違い湿度が無いので日陰に行けば何とか過ごせますが、直射日光は強烈で痛いとさえ感じます。

でも早朝は肌寒くて布団から出るのが苦痛です。この気温差にも身体が付いていけません。

家の増築は大幅に遅れていて、念願の年内引っ越しは難しそうです。

2025年も1ヶ月を切りました。時の流れの速さに驚きよりも戸惑いを感じます。もう山火事が発生しています。アンデスの山が煙で霞んでいます。

もうやめて! 

いい加減にして! 誰もが叫んでいます。

でも暗い心は暗い部分ばかりを見てしまいます。昔の根暗な自分が戻って来てしまいそうでぞっとします。

農場へは最低でも週3回通っています。やることは一杯ありますが、今は増築に集中しています。私に手伝える事は殆ど無いので、せめておやつとお昼ごはんだけは手を抜かないと決めています。

十分な経費がないので、農場で食べられる物を探します。野生大根やタンポポの葉、春に出たアミガサタケ、畑で生き残ったニンジン、西洋ネギ。

少し前、野生ダイコンの片隅に柔らかそうな葉の植物が出ているのを見つけました。レタスのような白菜のような。美味しそうだと思いましたが、見たことが無かったので食べませんでした。

暫くすると丸い大きな蕾が付きました。そして綺麗な芥子の花が咲いたのです。びっくりです。初めて見る色。どこからどうやってここに来て花を咲かせたのか?

日本だと騒ぎになりそうですが、私は農場内で花開いた芥子を綺麗で嬉しいと思いました。嬉しかったです。

アンデスの山百合アマンカイが咲き始めました。今年はルピナス、のぼりふじの花が去年より増えていました。焼けてしまったと思ったブナやさくらんぼ、スモモが緑に復活し輝いています。来季はきっと実を結んでくれるでしょう。

前に前に進んで行こうと思います。

 

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独り占め

もう11月も半ばを過ぎました。2025年も終わりに近付いています。あまりに時の経つのが速すぎて驚きます。

未だに引っ越しできないでいます。増築は本当に丁寧で、私が住むには勿体ない気持ちがします。

火事も過去のこととなり、それぞれがそれなりに日常を取り戻していく中で、未だに避難生活で人に頼り、残りの義援金を計算している暮らしにとても焦りを感じています。週2回だった増築も、友人大工さんが年末2ヶ月半日本へ行くので、なんとか旅行前には住める状態にしようと、自分の仕事は後回しにして週3日来てくれています。

日曜日には友人たちも来て手伝ってくれます。

持病で穴一つ掘れない私は、助けて貰うばかりで、受け取っている物が大きく多すぎどうやって向き合っていけば良いのか分かりません。

 

生きるのが面倒。

数年前難病で寝たきりの人が言った言葉です。その時健康だった私は、口に出して言えませんでしたが、

そんなふうに絶対思っちゃいけない。自分を諦めちゃ駄目だ。と強く思いました。

でも今、時々その言葉が頭の中をぐるぐる駆け巡ります。

そんな時、私は犬達と散歩に行きます。まだ歩ける。この子達と支え合っていけると、明るくなります。

友人の赤ちゃんのビデオを見ます。転んでも転んでも立ち上がり歩こうとする姿に、私もこうやって色んな事が出来るようになったんだから、また始めれば良いんだと思います。

焼け跡の森で芽を出し、伸びていく草木を見ます。大丈夫、これから伸びて行けると勇気が出ます。

 

何事も無く平穏に過ぎていく映画やゲームも素敵ですが、山あり谷ありのハラハラドキドキも面白いです。

この年でこんなハラハラドキドキを経験できるのは、ある意味とても幸運なのかもしれません。

 

借りている家の前のシャクナゲが満開です。こんな大きなシャクナゲを見たのは初めてです。家の前に立たなければ木がある事に気づきません。この子達は家が無人になってから何年も、誰に見られる事も無く、こうして毎年花を咲かせ続けてきたのでしょう。

今年は私が独り占めで楽しんでいます。

自然は美しく逞しく優しいです。素直に生きたいと思います。

 

ニュースで大分の火災を知りました。どうかこれ以上被害が広がりませんように。悲しむ人が増えませんように。

被災された方々に心からお見舞い申し上げます。

 

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夏が来る

朝は寒くてストーブを焚くけれど、日が昇ると急に気温が上がり、太陽の強さは夏を感じさせます。

あっと言う間に10月も終わリました。未だに街で避難生活をしています。10月の完成を目指していた増築は、壁も床も屋根も出来ていません。これは週2回来てくれる大工さん自身が1番焦って、困っているはずです。

お金をかけず最低の材料で、取り敢えず自分の残りの人生10年くらい住めれば上等だと言う気持ちで私はいました。でも私に手を差し伸べてくれた友人大工さんは違いました。満足な謝礼も出来ない事を承知で、手を抜かず、妥協せず、住心地第一に丁寧に仕事を進めてくれています。私には勿体なさすぎる家になります。

そしてゼロになった私が、十分な資材を買え家を作れるのは、多くの方からの義援金のお陰です。時々、無償の恩の大きさに、これからそれにどう向き合って行けばいいのか分からず、苦しくなります。

 

友人の農場では、リンゴも花梨も花が咲き終わりました。私は空に向かってひらく花梨の花と、蕾の紅色からピンクそして白に変わっていくリンゴの花が大好きです。たんぽぽは白い綿毛となって風に乗っていきます。子育て中のシギの仲間テロが、うっかり巣に近づくと、以前にも増して攻撃的です。街では1日中何処かで、草を刈る機械音が響いています。黄色い野生大根の菜の花がさわさわと揺れ綺麗です。

また乾いた夏がやってきます。どうかどこも燃えませんように。焼け跡で泣く人がいませんように。不安よりも喜びで夏を迎える人で一杯になります様に。

 

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歩き続けると…

 

10月も後半に入りました。朝は0℃で、未だにストーブを焚いています。でも日中は20度くらいまで気温は上がり、風のない日はホカホカと気持ちが良いです。

最近色んな事があって、先が見えず、心に不安がモヤモヤと広がっていました。笑おう笑え、と自分に言い聞かせるけど何か嘘っぽくて気持ちが後向きのままでした。

今朝、豆腐作りの日だったので、早い時間に犬達の散歩に行きました。友人の農場は山の影で、日は昇っているけど日陰で寒かったです。いつもの散歩コースをモヤモヤ気分でぼんやり歩いていると、突然暖かく明るくなり驚きました。

気がつかず歩いていたけど、そこは太陽が当たっている場所だったのです。

そしてはっと気がついたのです。

今、先の不安で怖くて心細いけど、歩いていればこうして突然明るく暖かい場所に出られるんだと。大丈夫! 立ち止まらず歩いていこう。安心しよう。そう思えました。

根暗な私のことです。きっと直ぐにまた心に不安が広がるだろうけど、取り敢えず元気が出ました。

家に帰ると、東京の友人からメールが届いていました。それは私の元気に強力なコーティングをしてくれました。

過去の事は考えず比べず、今ある自分を受け入れよう。今の自分の身の丈に合った暮らしをしていこう。それが大事なんだと思いました。

 

週に2回農場に行く度、緑が増え花が咲いています。季節は変わらずに巡って行きます。

 

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どうなってるの?

「火事の後、焼け跡にはきのこがたくさん出るよ」

そんな話を以前聞きました。でも自分にはあまり関係ないと聞き流していましたが、今、焼け跡の農場に行く度驚いています。

アミガサタケが至る所にわんさか出ているのです。それは想像を遥かに超えた現象です。

移住して30年。春先に目を皿のようにして農場の森を歩き、1シーズンで多くても1キロ採れるかどうかのきのこでした。近年は乾燥化が進んだのか、採るのが申し訳ないほどしか出ていませんでした。だから春のきのこ採りは私の年中行事からすっかり消えていました。ところが、9月の木曜日、何時も来てくれる大工さんチームの1人が、興奮して私を呼びました。何事かと行ってみて、正に度肝を抜かれました。あちこちにニョキニョキとアミガサタケが出ているのです。しかも、かつて1度も生えたことのない場所で見たこともない大きさ。

こんな事ってあるだろうか?

放射線でも被ったんだろうか?

世界の終わりなんだろうか?

要らぬ憶測をしてしまいます。

週に2回しか農場に行かないので、普段無人の農場は、正に誰でも入れ、気軽に採れるきのこの宝庫。

あまりきのこを食べる習慣がないアルゼンチン人でも、このきのこは大好きだし、レストランやヨーロッパへの輸出で高値で売れます。

以前なら勝手に入ってくる人を警戒して不愉快に思っていましたが、今は自然の贈り物、人が喜んでくれるならそれで良いと思えます。

それに私個人は、わざわざ採って食べようと言う気が全くなくなりました。

それにしても、この現象はどうやって説明したら良いのでしょうか? 不思議で不思議でたまりません。来年はどうでしょうか。楽しみです。

 

焼け焦げたと思ったプラムに白い花が咲いています。真っ黒だった大地も、ルピナスやチューリップ、菜の花、タンポポ達が緑で覆ってくれています。

みんな無理して頑張っているんじゃない。自然のままに、自然に任せて生きているんだと感じます。だから私も彼らと共に、自然に任せて信じて行こうと思います。

 

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