時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

「やっぱり日本人は梅干しが懐かしい」

エルボルソンはアルゼンチンでも有名なヒッピーの町だからでしょうか?菜食主義者が多く、健康食品店が5軒はあります。健康食というと日本食というイメージがあるのか、お金さえあれば日本食には困りません。
醤油、味噌、豆腐、ワサビは当然の事。のり、わかめ、ひじき、しいたけなどの乾物の外に、ごま油、みりん、餅米、きなこなどなど。そして何故かカレーのルーやインスタントラーメン、ふりかけ、化学調味料まで手に入ります。
どれもこれも高価ですが、お店の人も心得たもので、皆が買いやすいように、例えば海苔一枚とか、梅干し一個からとか小分けや切り売りしています。
欲しい物、あったら良いなあと思うものは沢山ありますが、それを買えるかどうかは別問題です。で、買えないなら諦めるか、工夫して作りだすかで す。味噌や豆腐はもうお手の物です。醤油は何度も挑戦しましたが成功せず、昨年は味噌仕込みの時、キクイモのすりおろしを混ぜ合わせ重石をして特 製たまり醤油を試しています。(なかなか良い感じに仕上がっていて楽しみです)
年と共に乳製品、肉、卵などを体が受け付けなくなってきました。それで数ヶ月前から夕飯はおかゆとみそ汁、食後の食べるドブロクだけにしていますが、体調も良く少食、粗食、日本の伝統発酵食の素晴らしさを体感しています。
で、おかゆと言えばやはり「梅干し」でしょう。
ここでは寒くて梅は実りません。梅の木はありませんが、プラム、すももはあります。それで十分代用できる筈です。よーし、今年はプラム梅干しもどきを大量に仕込むぞ!!と張り切っていたのですが、2年連続の不作で全く収穫がありません。がっかりしていましたが、マジン地区より標高が低く、ずっと暖かいエルボルソンの友人宅で、たわわに実ったスモモの木を見つけました。
「これは小さくて皮が固いし美味しくないから収穫しないよ。」
と言う事で、収穫許可を頂き10kgほど頂いてきました。
梅干しもどきは15年ほど前にも作った事がありますが、あの頃は今ほど梅干しに執着が無く、それ程美味しいとも思えず、生食して余った分はジャム やジュースに加工して来ました。
今回は梅干しを食べたい、作りたいという気持が膨らんでいたので、雑な私には珍しく丁寧に慎重に作りました。
初めて挑戦する種類のすももなので適期が分からず、まだ青くて固い時期のと、黄色く色付き始めた時期の2回作ってみました。
5kgのすももに90gの塩をまぶし、5kgの重しを3日間。それから2週間後に3日3晩天日干ししました。
つまみ食いの時期は塩辛さが気になりましたが、今は殆ど気になりません。
しわの感じ、色つやもなかなか梅干しらしいのですが、実が小さすぎるのと皮が固いのが少し残念です。また色付き始めてからでは梅干しにするには熟 しすぎで、実がぷよぷよで食感があまり良くありません。
塩漬けの時期にかなりの汁が出ました。保存はビン詰めしただけ。ビン詰めしたあと砂糖を振り掛けた物(これは日本の農家の方からお聞きした方 法)。ビン詰めの後その汁を注いだもの。そしてぷよぷよの物はざるに広げ、天気の良い日は干しています。
自分で作ってみて初めて収穫適期や塩加減、天日干しの要領が分かった気がします。
次回は我が家の少し大きめのプラムで作りたいと、いまから来年の豊作を願っています。
また一つ、のうじょう真人の特産品が増え一人でほくほくしています。