時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

世界が私の所にやって来る

 

今期最後のボランティアさんが今日次の目的地に向かって去りました。

本来なら4月は天候不順で外仕事もあまり出来ず、私自身も冬ごもり気分に切り替わって一人で過ごしたいので受け入れないのですが、今回はガイマンという700km以上南の街で穴窯を作り、1週間近くかけて焼く、日本では当たり前でもここアルゼンチンでは珍しい陶芸をしている、ずっと年下で、でもとても尊敬している友人からの立ってのお願いで受け入れました。

ただ私はもう焼き物はしていないから、正直気が重かったのは事実でした。

でも受け入れて良かったです。

彼女との数日の生活で、私は自分の甘えを 直視する事が出来ました。

よく人から「どうして焼き物していないの?」と聞かれます。

だって、時間がないから。

だって、体調が悪いから。

だって、必要ないから。

だって窯たき用の薪準備するゆとりがないから。

でもやりた気持ちはあるんだよ。

そう答えてきたけれど、全部言い訳に過ぎないと気づきました。本気でやりたい気があるのなら、やれば良いだけなのに。

ストーブのない寒い工房で一心に轆轤を回す彼女を見て、

私のために粘土を用意する彼女を見て、

ワンコに掘られて崩れかけた露天風呂の焚き口を丁寧に修理する彼女を見て、

ああ、私もあんな時期があったんだと思い出しました。

出来ないことはできる工夫をしていけば良いんだし、人に素直に頼っても良いんだし、無理する必要もないのだから、言い訳ばかりして自分を誤魔化す事はもう止めようと思いました。

また来てもいい?という彼女。我が家は焼き物よりも、畑や薪準備や農場整備の仕事をしてもらうよ、と言ったら、嬉しそうに、私はそういう仕事が大好きだから、と答えてくれました。

9月末、畑の準備が始まる頃に来てもらうことにしました。

野良仕事はもちろんだけど、彼女と窯を直して、もう一度穴窯を焚いてみようと思います。

ここでしか出来ないこと。ここにいるから出来ること。こんな幸せな時間を過ごせる今を大切にしなければいけないと思いました。

日本の友人が、ボランティアを受け入れて正解だったね。世界が時子さんの所にやってくるんだから。と言ってくれました。世界のほんの一部だけど、どこへも行けない私のところに、こうしてやって来てくれる人たちから、多くのことを学び、知り、感じる事が出来ます。

彼らのお陰で、尖った私の心は少しだけ丸くなる事が出来ました。

今期も本当に楽しい夏を過ごせました。勿論困ったちゃんも居ました。次回はボランティア困った編をお届けしたいと思います。

里は黄色に、山は紅色に染まり始めました。

明日から晴天が続きそうなので、プラム梅干しを天日干ししようと思います。

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