時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

nojomallin2006-10-09

今年は気持ち悪いくらいの暖冬で、雪も雨もあまり降りませんでしたが、春先になって、急に真冬に逆戻りしたような寒さがやって来ました。ずっと地面が凍っていた為、例年より2週間近く遅れて、「空豆」「エンドウ豆」の種まきをしました。種を播いた後も、霜は毎日の様に降りています。
福岡正信先生の自然農法で緑を増やしたいと願っている私達は、畑は作らず、耕さず、化学肥料は勿論、有機肥料もやらず、豆を地面に埋め込んで種まきをしています。
人が雑草と呼ぶ草達と共存しながら、自然の中で豆達は仲良く育っていきます。けれども、今年はあまりの低温に、もう少し待ってから播けば良かったかなあ?と地面の中の豆達がとても気がかりでした。
でも、そんな心配は無用でした。豆達はゆっくりとですが育ち始めていました。
「わあ、芽が出ている。有り難うね。」
芽を出した豆達を見つける度に、自然に声が出、頭が下がります。私の大好きな楽しい一瞬です。

毎年、去年の異常が異常では無くなっている、恐ろしい気候が続いています。自然災害は、全て人間のもたらしたものだと私は思っています。
「恐ろしい」と口に出すことは簡単です。でも、その先に進まなければ何も変わりません。私に出来ること。それはただ諦めず「種を播く事」だと思っています。

自然に任せ、自然に還ること。それがどういう事か私にはわかりません。ただ、播いた種が芽を出した姿を見つけた時、自分の抱えている問題や悩みや不安が、この自然の中では本当にちっぽけな事なんだと思え元気が出ます。私も豆と同じ自然の一員だったんだと感謝出来ます。

そう言う事に気づくことが出来た土のある暮らし、種をまける暮らしを、とても幸せだと感じます。