時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

問題

nojomallin2006-05-29

「チーナ」
8歳と10歳くらいの兄妹が私を見つけ、車の窓を開けて叫びました。
「えっ?」
驚いて振り返ると、悪びれる様子も無く、その子達はにやにや笑いながら
「チーナ、アフエラ」と再び叫びました。
この場合「チーナ、アフエラ」とは、どう好意的に解釈しても「東洋人、出て行け」というニュアンスになるでしょうか。陰でこそこそ言われた事はありましたが、子供から面と向かって言われたのは初めてでした。
先日、小学生の子供がいる日系人、日本人移住者のお母さん達と話しをする機会がありました。子ども達が学校で「チーナ」とからかわれた時、一人は「東洋人も見たことないのか!貧乏人!」と言い返す事を教えたと言います。また別の人は「私は日本人だけど、それが何?」とみんなと仲良くしなさいと言いました。
私には子どもがいません。でも、私ならどうするだろう・・・と考えました。
私個人の話になりますが、子どもの頃、顔にある傷のことでよくいじめられました。でも、いじけて泣いている私に「気にするな」と優しく言ってくれる友人にも恵まれました。私がそんな友人達から学んだことは、外見で判断しない心の高潔さです。
からかう相手に、笑って歩み寄り仲良くすることはとても難しいことです。でも、言い返しても解決にはならず、からかった者と同じレベルにまで自分を下げてしまう様な気がします。
私には少ないけれど、日本にもアルゼンチンにも、心から信頼できる親友がいます。どんなに傷ついても、それを暖かく包み込み前に進む力を与えてくれる、かけがえの無い宝です。そして、自然の中にも差別はありません。私は争うことや憎むことより、そんな人達や自然から、もっと優しさや暖かさを学ばなければいけないのだと思います。
辛い時こそ、キラリと光り輝く本当に大切なものが、見つけられる様な気がします。