時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

nojomallin2006-02-16

先日、数年前から立ち枯れしていた「シプレス(日本のヒバに似ています。)」の大木を切り倒しました。立ち枯れの木は強風や雪に耐えられず、思わぬ時に倒れてしまい危険なので「早く伐らなきゃ」と思いつつ、高さ約30m、幹の直径80cm以上の大木。作業の大変さを思いそのままにしていました。
けれども今年は、初夏までの長雨と諸事情で2月になるまで薪の準備が出来ず、薪小屋が半分も埋まっていませんでした。自分達で使う薪は、自分達の農場から自分達の手で用意する、と決めていましたし、大雪の冬がやって来そうな予感がするので、薪は十分に確保しておきたく、割と家の近くにあるこの大木を倒し薪にする事にしました。
最初に夫が刃の長さ50cmのチェーンソーで根元を切り倒します。大きく張り出した枝が、周りの木に引っ掛かり素直には倒れてくれません。慎重に枝を払い、幹を輪切りにしながら、滑車で大木を手前に引っ張ります。
木が完全に倒れたら、材に取れそうな部分は2.2m残し(私達が扱える限界の長さです。)後は薪用に切っていきます。夫が、輪切りの幹を斧で割り、長い枝は40cmに鋸で挽き、私はせっせと薪小屋に積んでいきます。
チェーンソーと日本の鋸、斧、そして鉈をあつかう夫は大鋸屑や木っ端にまみれ、汗びっしょりです。私もやはり汗まみれです。
以前、日本の友人から「そんな力仕事、年取ったらどうするの?出来無くなるでしょ」と心配されました。
30代の頃は、自分の力より少し無理して重い物を運んでいました。でも今は、絶対無理せず、その分多く歩いて運ぶ様になりました。薪割りも決して力でする仕事ではありません。年を取るというのは、経験と勘と工夫が増え、毎日を健康に楽しむことが出来る事だと思うので、全然心配はしません。
汗をかきながら薪を準備できる暮らしは充実しています。そして、私達の生活を支えてくれるエネルギーの有り難さ、大切さも分かります。なによりも自然に生かされているんだと実感できます。
樹齢約80年だったシプレス。今年の冬は暖かく過ごせます。本当に有り難う。