時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

「自然を大切に」

nojomallin2006-05-11

「自然を大切に」「自然を守ろう」
ボルソンの観光地、山や湖で良く見かける看板です。
正直言って、私はその看板を見る度、白けた腹立たしい気持ちがするのです。それは「自然を守ろう、大切にしよう」と言うその言葉が、表面だけの心の籠もらない言葉に思えるからです。何故なら、それらの看板は必ず、生きている木の幹に五寸釘で直接打ち付けられているからです。
私は「自然を大切にすることは、人が自然に手を出さない事」だと思っています。人間は万物の霊長という考えにはどうしても賛成出来ません。自然の中では、人も木も鳥も虫も草も石も土も、すべての物が同じ命の重さで繋がり、支え合って存在していると感じるからです。何が一番偉いとか、何が一番大切かなんて、決して人が決める事、決められる事ではない筈なのです。それに、人が自然を守るなんて、なんておこがましい考え方か、と思うのです。私達は自然に守られ育まれているのであって、それを素直に感謝し敬う気持ちがなければいけないと思っています。
薪の為に木を伐ったら、感謝の気持ちでそれを大切に使います。肉や魚も、感謝の気持ちで美味しく頂きます。
人が生活していく為には多くの命を犠牲にし、利用しています。それは私も例外ではありません。でも、それを当たり前とは決して思いたくはありません。
ありがとう。ありがとうございます。
いつもいつも、心の中で繰り返して感謝していくつもりです。
「自然を守ろう」という千の看板を木に打ち付けていくよりも、「ありがとう」と感謝しながら千の種を播き続ける生活をしていきたいと思っています。