時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

「お恥ずかしいお話ですが・・・」

以前にも何回か書きましたが、我が家に電話はありません。当然コンピューターも接続できません。夫が日本に帰国した折、ノートパソコンを日本の家族の援助で購入することが出来ました。アルゼンチン持込の時は空港の税関でかなりもめて、思わぬ出費をする羽目になりましたが、それでも町のWiFiで日本語の通信や日本のドラマ、映画のダウンロードが出来るようになり、私たちには画期的な出来事でした。
悪い例えですが、もし我が家に泥棒が入っても、彼らにとって価値ある物、電化製品や現金、家畜(こちらでは羊や馬は貴重品です)、高級備品、骨董品、装飾品、電気工具は全くありません。(日本の大工道具の価値がわかる人にはお宝の山ですが)。唯一そのノートパソコンと車が財産といえる物でした。
車とパソコンが家にある時は私たちも家に居り、出かける時は車に乗ってパソコンはどこへでも持ち歩いていました。その位貴重な物だったのです。 ところが・・・・その貴重なノートパソコンを紛失してしまったのです。少し長くなりますが今から事の顛末をなるべく客観的に詳しく書きますので、皆様もいっしょに考えてみて下さい。


ちょうどその時は、ブエノスアイレスから友人カップルが泊まりで遊びに来ていました。木曜日朝、私たちは一緒に町に行きました。そして私は日本語教室、夫はいつも行くガソリンスタンドの喫茶コーナーでWiFi、友人カップルは歩いて散策。12:30に友人カップルが夫の所に行き、それから車を止めた日本語教室の文化センター前に集まることにしました。 日本語教室が終わってセンターを出ると、夫たちはもう車の中にいました。(鍵は夫も持っています)。その時点で夫はノートパソコンの入ったリュックを車の荷台のダンボールの箱の中に入れ、その上からリュックが見えないように上着をかぶせていました。私たちの車はTOYOTAのハイラックス4人乗りで、荷台はクープラがついており、鍵もかかるようになっています。私に用事があり、彼らを30分近く待たせてしまいました。私を待つ間、彼らは車から離れませんでしたが、クープラの鍵は開いていました。

それから私達は国道沿いの地ビール屋で車を駐車場に置いて鍵をかけビールを購入(30分位)し、買ったビールを荷台の鍵を開けてクーラーボックスに入れました。その時、リュックの確認はしていませんが異常も感じませんでした。車には警報機がついており、鍵のかかった状態で車に何かしたら、大きな警戒音が鳴ります。 それからマジン村にある滝に行きました。駐車場には3台車がありましたが、人は居ませんでした。この時、お弁当やビールの荷物が多かったこともあり、リュックは車の荷台に入れっぱなしでした。私達はお弁当を持って5分ほど歩き、公園で1時間30分ほど食事をしました。ここから車は見えませんし、もし他の車が入ってきても音は聞こえませんでした。 そして滝を見学するために車に戻り、お弁当などの荷物をしまいました。その時、夫は荷台の鍵はかかっていたけれど、車の鍵をしていなかった事に気づきます。けれども、車を荒らされた形跡は全くありませんでした。少なくとも誰も何も感じませんでした。 今度はしっかり鍵をかけ、滝散策に出かけ2時間ほどで車に戻り、そのまま帰宅しました。 そして家に帰ってきてリュックを持った夫がその軽さに気づき、慌てて中を見るとノートパソコンは消えていたのです。

消えていたのはノートパソコンのみで、リュックの別のポケットに入っていた身分証明書などの入った貴重品袋は無事でした。車から荷台の間には40cm×28cmの大きさのガラスを改造した窓がついており車から荷台へ入る事は不可能ではありません。 夫の意見 車の鍵をかけ忘れた昼食時に、何者かが車から後ろの窓を通って荷台へ行きリュックの中からノートパソコンを盗んで行った。これは単なる物取りではなく、かなりコンピューターに興味があり、自分がいつもこのリュックにコンピューターを入れていたのを知っていた人物の計画的犯行。来た時止まっていた赤い車が帰る時には居なかった。

私の意見 これは盗難ではない。まず、昼食時に鍵のかかっていなかった車の後ろ座席には、友人のカバンが置いてあり、ケータイなどの貴重品が入っていたにもかかわらず無傷。 車に戻った時、誰一人「何かおかしい」という気持ちを持たなかった。40cm×28cmの窓を通るのはかなり苦労するはずなのに、座席が汚れていたり、荷台に積んでいた他の物が荒らされたり崩されていない。何度も荷台を開けていたにも関わらず、リュックの異変に気づいていない。つまり、変だと感じるような変化は無かった。 つまり、夫がWiFiを終わったあと、リュックにパソコンを入れずその場に置き忘れ、それを誰かが持って行ってしまった。(私の意見を聞いて念のためもう一度WiFiをした場所に行き、店の人に聞いてみたけど、忘れ物として届いてはいなかった。)

夫の反論 いつも持ち歩いているパソコンだ。しかもかなり重い。車の止めてあった場所まで100m以上歩いたのだからリュックが空なら絶対に気づくし、あの時も重いと感じていた。それにあのパソコンの貴重さは誰よりも自分が知っている。入れ忘れる筈がない。

余談 夫がWiFiをしている時に友人が歩いてくるのが窓越しに見えたので、彼らに「もう終わる」と合図すると、彼らは店まで入ってこずに外で待っていたそうです。その時友人は外から、夫がパソコンを専用カバーにしまうところは見ていますが、それをリュックに入れるところまでは見ていません。(つまり、入れなかったところも見ていないことになります) 夫はパソコンを仕舞い終わるとリュックを持ってトイレに行き、別の出入り口から出ています。残念な事に自分の座っていた場所を再確認していないのです。

長くなりましたが、以上がパソコン紛失の顛末です。皆様はいつどこで無くなったと思われますか?ただ・・・・私の推理が正しいと、それはそれで別の意味で恐ろしいんですよね〜。 どちらにしても、これは全く私達の不注意です。盗まれたとか、置き引きに遭ったとか、他人を疑うことは見苦しく恥ずかしいことです。今回の痛手は大きいですが済んだ事は仕方ありません。反省し、このことを幸運に転換していこうと思っています。それに私達にはかわいい犬猫達、農場の植物や生き物が一緒です。それこそが私達の財産で、かけがえの無い素晴らしい宝だと改めて感じました。

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のうじょう真人(まじん)