時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

のうじょう真人への思い

5.5ha(55000㎡)の、のうじょう真人
その半分は自然林です。西向きの斜面にあるため、朝日が差し込むのが遅く、夏の間は水不足に悩まされます。真夏にも霜が降りるため、トマトもカボチャもシソも大豆(枝豆)もソバさえも出来ません。一日の温度差が激しく(0℃〜35℃)大根もチンゲンサイもすぐに花を咲かせてしまいます。お祭り騒ぎの好きな国民性からか月1回は大音響でロックを垂れ流す隣人がいます。
「よくまあ、こんなところに・・・」時々言われる言葉です。
でも私は”のうじょう真人”が大好きです。
それは、
 何百個と播いた粘土団子から1本、2本であっても芽を出し、「あっ、こんな所で大きくなってたの!」と感動を与えてくれる林檎の木
 毎年、野ウサギに食べられながらも決して枯れることなく新芽を出すどんぐり達
 コンコンコン・・と見事な音で木を突付き、訪問をつげるアカゲラ
 一年分のお茶を提供してくれる天然ハッカの群生
 明日の天気を教えてくれるアンデスの山
 いつでも一緒の3匹の犬、ちょっとなまけものの6匹の猫 
まだ、まだ、まだ、まだ、まだ、
私の周りには涙が出そうな位素敵な「命の輝き」が溢れているからです。
私は小さな事でよく落ち込みます。子供もおらず、財産も無く、将来が不安でたまらなくなる時もあります。それでも、「大丈夫!今を大切に、今を楽しもう!」と前に進んでいく元気を分けてくれるのが、この”のうじょう真人”の全てなのです。
今年は雨の多い4月を迎えています。冬が早い気配です。
「晴れたら、収穫の終わった隣村の農家へ、一年分の小麦100㌔とじゃがいも50㌔を買いに行かなきゃあ」
薪ストーブの前で夫と話しているところです。