時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

のうじょう真人の自然が教えてくれる事

裏口の横に、甘いサクランボの木があります。2年前から私達にも、お裾分けがまわってくる程、沢山の実をつけるようになりました。今年も、真っ赤な実を小鳥が上手にくわえて持ち去って行きます。思わぬ所でサクランボの苗木を見つけるのは、みんな小鳥達のお陰です。
野いちごもサクランボもスモモも木イチゴもリンゴも、のうじょう真人の果実は朝露に濡れながら、完熟した物を手で摘んでそのまま口に入れるのが、最高に美味しいです。
そう言うと「洗わなくて汚くないの」と、必ず聞かれます。私もここで暮らすまでは、野菜も果物も、洗って皮をむいて食べる物だと思っていました。でも今は違います。
農薬も化学肥料も堆肥も知らない自然の大地から育つ果実、林の中は車も、自転車だって通りません。「土や草が汚い」のでは無く、そう感じる原因を人間が作っているだけだと思うのです。だから洗う必要も皮をむく必要もない果実を育ててくれる自然に、迷惑を掛けてはいけないと思っています。
朝の散歩の時、林の小道を歩くと、払っても払っても、蜘蛛の糸が顔に絡み付いてきます。一晩の内に、蜘蛛達が飛び回って、柔らかい糸を張り巡らせているのです。
ここでは、蜘蛛が飛び回り、鳥がサクランボをくわえてゆき、野ウサギが野いちごを食べ、蜜蜂が生い茂った草の花粉を集めてまわります。
「素敵だね。私もみんなの仲間に加えてね。」
自然から学ぶ事は沢山あります。そして、自然はとても清潔で、優しくて、正直なのです。