時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

「のうじょう真人(まじん)」の一日の始まり

「キコケッコー」  (あっ、フェル家のボスが鳴いた。)
「テケッケッケッケッ」(今度はボカ家)
 隣家の雄鳥の個性的な時の声が、ピリピリと冷たくキリッと透き通った、早朝の空気を震わせます。
 夫(1960年生)が起き出し薪ストーブに火を付け、私(1962年生)は昨夜仕込んでおいた天然酵母(のうじょうで採れた林檎を使った自家製)で作ったパンを薪ストーブに付いているオーブンで焼きます。その間にも、6匹の猫と3匹の犬は「おはよう」「お腹空いた」と大騒ぎです。
 焼きたての玄麦パンに手作りジャム、自家製はちみつ、そしてボンビージャと呼ばれる竹のストローで飲むマテ茶。たっぷり時間を掛けて取る朝食。
 アルゼンチン、パタゴニアアンデスの麓の村に住み着いてから10年、これが私達「のうじょう真人(まじん)」の一日の始まりです。
 自然の中、土の上で動物達と共に生き、出来る限り手作りの暮らしがしたい。そんな贅沢な夢を実現しようとしています。
 毎日手でこしごし洗う洗濯、枯れ木を切り出し手斧で割る一年分の薪、その日採れた野草やキノコで決まる食事のメニュー、作物の収穫と加工、麹作りから始める味噌の仕込み、耕さない土地にばら播く種(木、野菜、果物、花の種)、木っ端で作る小物、陶芸用の粘土探し・・・
 毎日はあっと言う間に過ぎていきます。
 土壁の家を作りたい、井戸を掘りたい、焼き物の穴窯も増やしたい、やりたい事はいっぱいあるけれど、無理せず焦らず、自分達のペースでやっていくしかありません。
 “貧乏でも楽しい”そんな私達の暮らしを「のうじょう真人」の自然と共に、これから少しずつお届けします。ご感想、またはこんな事知りたいといったご希望など、是非お知らせ下さい。
 “皆様ものうじょう真人のこころの住人になりませんか?”