時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

野草を美味しいと思えるということ

のうじょう真人の自然の恵みは出来るだけ食卓にのせる様にしています。
ネマガリタケの筍、季節のきのこ、野草の葉や新芽、半野生化した菊芋、チヂィビア、コンフリ、チャイブ。
そして、誰もが驚くほど大きく沢山出ているタンポポ。花の酢の物は最高に美味しいし、根のきんぴらだって絶品です。でも葉だけはダメでした。10年前、初めておひたしにして食べた時の、舌の痺れるような「苦さ」が頭にこびり付いていたからです。
この2月、南米大好きな農家の主婦(64歳)の方が日本から一人で来られ、10日程、のうじょう真人に滞在して下さいました。とても楽しんで下さったようですが、私の方こそ生活の知恵を教わり、有意義な毎日でした。
そんなある朝、「おひたしにしようか」とタンポポの葉を摘んで来られたのです。内心“ぎょっ”としましたが、苦くない料理法を教わろうと思い直しました。ところが、料理法も何も、私が10年前にしたのと同じ、普通に茹でるだけです。
「どう?こわく(堅く)ないかい?」彼女の問いに、思い切っておひたしを口に運びました。
「えっ!美味しい」
驚きでした。痺れるような苦さはなく、ほんのりとしたタンポポ独自の苦みを、とても美味しいと感じました。10年前と今のタンポポの味が変わったとは思えません。きっと、のうじょう真人での暮らしが、インスタントや化学調味料に慣れていた私の舌を「野草は美味しい」と感じる素直な舌に戻してくれたのでしょう。
「暮らしている周りにある自然のものを、旬に頂く」事こそが「自然食」。そして、それを「美味しいと思える」事こそ「健康な暮らし」ではないか、と感じています。
写真は「タンポポの葉のくるみ空豆味噌和え」です。