時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

免許更新 続編

前回、免許更新が無事終わったとご報告しました。実はあの時点ではまだ新免許は手にしておらず、翌日受け取りに行くつもりで気分だけはルンルンしていました。

ところがアルゼンチンは、エルボルソンは、そんなに甘くなかったです。

翌日更新センターに新免許を受け取りに行くと、ペンと5枚の印刷物を手渡されました。

⁇ ⁇ ⁇

 

なんと、筆記試験だったのです。

そんなの聞いてない!私の語学力でスペイン語の試験が出来るはずない!しかも交通ルールなど日常会話で使わない言葉を私が分かるわけない!と青くなりました。でも受けるしかありません。思いっきり想像力を働かせて悪戦苦闘する事40分。

これに受からなければ免許がもらえずこれからの生活に支障が出ます。最後は係員に「交通ルールは知っているけど、単語の意味がわからない。助けて。」と泣きつきやり終えました。

まあ泣きついて助けてくれるところは非常にアルゼンチンらしくて嬉しかったですが。

当然間違いもありましたが、80%以上の正解率で合格できました。

ああ、良かった!

私の会話力を知っている友人は「あんな引っ掛けが多い問題をよく受かったね。凄いなあ。」と祝福してくれました。

難関突破してやっと免許を手にできるかと思いきや別の紙を渡され、役場で更新料払ってきてと言われました。役場は別の場所にあり、時間的にももう手続きできず、結局翌日改めて行く事になりました。

翌日手続きしたら、また別の場所の窓口に行く様言われ、そこで終わりかと思いきや…

「あなたは税金を納めていない。ずいぶん溜まっているから払ってください。」と免許とは関係ない事を言われてしまったのです。

今の時代、DNI(国民番号)をPCに打ち込めば、全ての個人情報が出てくる様です。(当たり前か…)

5年分20000ペソ。日本円にすると10000円にも満たないのですが、私の収入では物凄く苦しい金額でした。

泣く泣く支払い領収書をもらうと、「DNIをコピーして明日以降、新免許をセンターに取りに行って」と言われました。

コピーだって、店に行って個人でしなければいけないのです。ああ、これがアルゼンチンなんだとしみじみ感じました。

 

私の様に田舎に住んでいる場合、税金をわざわざ自分で役場に行って払う人はおらず、私もまさか未納税金があるとは知りませんでした。

言われないから知らなかったが通る世界だったのですが、急ピッチで締め付けが厳しくなって来ています。

それでもお金無くて払えないとか、完全無視を決めつけている人もまだ多くいますが、今回の私の場合、無視したら免許が更新出来ない事態になります。

 

次の更新は5年後。その時は65歳以上になり、筆記試験かつ実技試験があります。税金もたまっていく事でしょう。

 

去年、今後10年で終活を終え全てを整理して行こうと思っていました。でも昨日、次の更新までの5年が勝負だと感じました。

5年後にスムーズに更新できる確信は全くありません。その夜、経済的な事、体力的な事など先の事をを考えて思いっきり落ち込み、不安が広がっていきました。

でも今は「どうにかなるさ。大丈夫。」と思っています。

だって約5年前、毎日が失望、情け無さ、悔しさで一杯だったのに、変化が怖く先の不安しかなかったけど、実はその変化のお陰で自分に自信がつき、出会いがあり、思いもしなかった新しい世界で私らしく面白く生きられるようになったのを思い出したからです。

 

出来なくなったことが多くて戸惑いもあるけれど、失ったものにしがみつくんじゃ無くて、工夫して別の方法を見つけていけば良いだけのことです。

5年後、私の前にどんな新しい世界が開けているのか、楽しみに笑って、大切に毎日を過ごしていこうと思います。