時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

贅沢に暮らすということ

nojomallin2005-04-09

「うひゃ〜」「おおー」
4月に入ってから1日1回は歓喜の声を上げています。
いよいよ、きのこ狩りの季節が始まりました。のうじょう真人の林では、四季を通じて数種の野生のきのこを楽しむことが出来ます。そしてこれから6月までは、ヌメリイグチダケがニョキニョキ、あちこちで出てくるのです。
長年(と言っても、たかだか10年ですが)の勘と経験で、「そろそろここらに出るな」と、当たりをつけ、バケツを持って廻ります。
「あれ?まだ全然出てないや」がっかりして次の場所へ行こうと視線を移した時、ロサモスケータの根元にどっちゃり出ているきのこを見つけ、思わず「うっほー」と声が出るのです。勿論“ここらあたり”と思って入った林の、思った通りの場所できのこに出会った時も「うほほほ」と嬉しくて声が出ます。
見つけるのには多少のこつが必要ですし、大きな物だと直径20㎝はあるので、きのこ狩りの醍醐味をたっぷりと味わう事が出来ます。
ぬるぬるの皮とスポンジ部分を取り除き、薄切りにして天日干しにします。ボルソン名物の一つなので、乾燥きのこは土産物屋に売っています。ただ残念なのは、卸の時、重さが減らないよう、消化に悪く味を落すスポンジ部分が付いたままなのです。「目先の利益より、味と信頼」をもっと大切にすればいいのに・・・と考えるのは大きなお世話なのでしょう。
5,6月の雨の季節に出るきのこは水分をたっぷり含み、味も香りも大ぶりになっていますが、4月のきのこは肉も締まり、天日でからりと干せるので特級品です。
山も里ものうじょう真人も、毎日少しずつ木々が黄や赤に色を変えていきます。
自然の変化を美しいと感じ乍、きのこ狩りの出来る。そんな暮らしを、とてもとても贅沢だと感謝しています。