時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

こういう事もあるのよね〜

ボルソンの町にはガソリンスタンドが4つあります。以前は同じスタンドを利用していましたが、ここ数年は気分と道順で他のスタンドも利用する様になりました。

その日は友人の家から近かったので、以前よく利用していたスタンドへ行きました。

行くと、初めて見る女の子がやって来ました。

いつも通り

「común lleno (普通のを満タンね)」と頼みました。

何時もならそれで満タンにしてくれ料金を払って終わりになるのですが、その子は

「何リットル入れますか?支払いはカードですか?現金ですか?」と聞いてきて、ああこの子は新人だなあと直ぐに分かりました。

アルゼンチン人らしく、人の話は聞かないで自分の話だけするタイプらしく、めんどくさいと思いながら質問に答えました。

最後に「súper 」と言ったけど、意味がわからず、めんどくささも手伝って「はい」と言ってしまいました。

彼女が給油を始めたのですが、バックミラーで何気なく見ると、ディーゼルではなくガソリンを入れているのです。

ええええ~‼︎

慌てて車から降り、「何を入れているの!」と叫ぶと、先輩従業員がやって来て直ぐに給油を止め、彼女にこれはディーゼル車。ここ(給油口の所)に書いてあるでしょ。と、注意しました。

彼女は別段慌てる様子もなく、だってこの人がsúper (スーパーガソリン)って言ったんだもの。と私のせいにしました。

それからの先輩の対応の早かったこと。私の車の後ろに赤いポールを立て、他の車が並ばない様にして、細いホースを持って来て給油口に突っ込みチュパチュパ(なんて言うんでしょう?)で中のガソリン入りディーゼルを抜き始めました。

入れたガソリンは16リットルでしたが、車のタンクには8割近くディーゼルが入っていて、全て抜くのに1時間近くかかりました。

抜きながら先輩従業員が「あの子は新人だから」と庇うので、「ガソリンスタンドで働いている人が、こんなミスをするなんて信じられない。」と言い返すと、「こんなことよくある事だから。全然問題ないから」と平然と言うのには驚きました。でもあの対応の早さを考えるとあながち嘘とも思えませんでした。因みに抜き取ったディーゼルをどうするのか聞いてみると、「大きなタンクに戻す。混ざったのが少しだから問題ない。」とごく自然に当たり前に答えたのでまたまたびっくりでした。

起こった事をぐちぐち言っても仕方ないし、喧嘩にならずに文句を言うだけの語学力も会話能力もないので、私がアルゼンチンを甘く見た所為だと諦めました。

ところが、やっと空になって、ディーゼルを満タンにした後、そのスタンドの主人らしき女性がやって来て、私に全額料金を請求したのです。

これには流石に腹が立って、「何で私が払わなきゃあいけないの」ときつい口調で言うと、「だってあなたが彼女にsúperって言ったからでしょ。あなたのせいです。」と言われてしまいました。

ああそうですか。と言えるほど私は心が広くありません。

「私は最初にちゃんとcomún (いつもの)と言いました。それに無駄な時間を費やした。第1こんなミスを従業員がするのは有り得ない」と滅茶苦茶なスペイン語でまくし立てると、こいつは厄介なやつだなと思われたのか、それじゃ彼女の給料から引くと割とあっさり引き下がりました。でも後味が良くないし、狭い街の事。後々尾を引くのも嫌だったので10リットル分だけ払いました。

帰ってから大急ぎでディーゼルにガソリンを間違えて入れた場合どんな問題が有るのかネットで検索してみると、驚いたことに多くの記事がありました。

私の場合、気がついてエンジンをかける前に全て抜き取ったので取り敢えず特に大きな問題はない様でした。

たまたま日本人の男性あったので尋ねてみると、「ああ、日本でも良くあるよ」と言われ、ひどく驚きました。

 

日本でもアルゼンチンでもずっと車にはお世話になって来ましたが、こんな問題があるなんて夢にも思わなかったです。いい勉強になりました。

 

今回の教訓。

めんどくさくても煩がられても、きちんと言葉は確認する。スペイン語の勉強をする。

あのガソリンスタンドにはもう決して行かない。だって混合燃料を平気でタンクに戻し、それを客に給油しているのだから。

 

パタゴニアは冬に逆戻りしたように寒い毎日です。日本と季節が逆なので、寒い日本から暖かいパタゴニアの便りを楽しみにしていてくださる方もいるのに、セーターを着て薪ストーブを焚く日が続いています。