時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

今 思う事



日本は猛暑の様ですね

youtubeを見ていたら、「命の危険を感じる暑さ」とニュースで言っていて驚きました。

私が日本に住んでいた頃も暑い日はありましたが、命の危険を感じたことはありませんでした。

人間がこんなに暑いのだから、毛皮を着た動物達、特に自由を束縛されている動物達はどんなに苦しいだろうと心が痛みます。

こちらも温暖化の影響か、7月は一番気温が下がり雨よりも雪になる事が多いのですが、今年は曇りのどんよりとした日が続き、例年のような寒波が殆どありません。

住み易いといえば住み易いのですが、冬は寒い!水道が凍る!雪で町に行けない!そんなパタゴニアらしい冬の方が正しい気がします。

 

私の住む町は、環境問題に関心のある人が多く、関心あるだけではなく、それを実践しているので感心します。勿論、ゴミのポイ捨て、無差別な木の伐採、使い捨て消費で増える石油製品ゴミなど、全く環境問題に無関心な人も多くいます。

でも関心を持った人は、どうせ変わらないなら自分も便利に勝手にする、という方向には流れないから凄いなと思っています。

人口約30万人のこの町には自然食を扱う専門店、卸の店が15件以上あります。

スーパーにも自然食コーナーはあります。

少し高いですが、地元の人が作った無添加の自然食品や石鹸、シャンプー、リンス、化粧品などは人気があります。台所洗剤、洗濯洗剤にも気を遣っています。野菜や果物、その加工品についても同じことが言えます。

土地がある人は自家菜園を作るのが当たり前です。庭をコンクリートで固め、テラスを作る人は殆どいません。ゴミ問題、食品添加物、環境問題を当たり前に普通に会話します。ですからシンプルに生活している人が、カッコつけているとかケチだとか貧しいと後ろ指さされる事はありません。

 

町に面白い収集箱があります。

ペットボトルにビニールゴミをぎゅうぎゅうに詰めた物を回収しているのです。これはプラスチックレンガと呼ばれ、家の土台などにレンガの代わりに使うのです。

かなりの強度があります。

最初これを使って家つくりをしている人を見た時、ゴミの上に住むなんて心と体に悪そう。返って土壌汚染になりそうと思いました。

でも今は、人間が出したゴミをこうして人間が利用して行くべきなんだと考えるようになりました。

海洋汚染の大きな原因のプラスチックゴミ。野生動物が苦しんで死んでいます。燃やしても有害物質が出るし、再利用も永久に出来るわけではありません。

一番良いのは使わない事ですが、絶対に実践できません。それならこうして利用していけば良いと思うのです。長い目で見たら何の解決にもなっていませんが、少しでも少しでも出来ることをやる気のある人が実行してくだけしかないんだと思います。

とっても悪い考えですが、私は地球の命の残りは少ない気がしています。自分の持っている十数年の時間でさえ、どんどん悪化していくんだろうな、と落ち込みます。

でもだからって諦める気もありません。土の上で生きる喜び。自然界の命達と繋がって成長していく感動。今を輝かせる生き方。

そういう事を感謝して大切にしていきます。そうしたら、ここで私が小さく守ってきたものを引き継いで行ってくれる人に出会える気がします。

 

久しぶりに晴れました。雪を被ったアンデス山脈が輝いています。