時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

おにぎり考

私は愛知県で育ちました。

母は神戸の出身です。

 

子供の頃から遠足や運動会など、お昼は必ず母がおにぎりを握ってくれました。中身は何時も梅干しで、高校生になって自分でお弁当を作る様になってから、おにぎりに梅干し以外の物を入れるようになりました。でも、必ず塩をつけて握りました。と言うか、おにぎりを塩で握るのは当たり前の事でした。

昨年、ボランティアのブエノスアイレスの日系三世の女性が、休みの日山へ行くと言うのでお弁当を作ってあげました。簡単なおかずとおにぎり。

山から戻った彼女が

「お弁当ありがとう。美味しかった。でも時子さんのおにぎり、塩味がしたからびっくりしちゃった。」と言ったのです。

「???」

おにぎりって塩で握る物でしょ?何がびっくりしたんだろう?

話を聞いてみると、沖縄がルーツの彼女たちは、おにぎりは塩で握らないのです。

半世紀以上生きてきて、初めて塩なしおにぎりの存在を知った私は衝撃を受けました。

もしかしたら他県でも塩で握らないおにぎりがあるかもしれません。

当たり前と思ってきたことがいかに当たり前でないかを実感しました。

 

そして今日、生粋のアルゼンチン人の生徒さんがおにぎりをくれました。

アニメではおにぎりは寿司より良く見ます。

ネットでお米の炊き方から勉強して、おにぎりの型を使って作ってくれました。最近ではネット通販や、少し大きな街では箸と並んでおにぎりの型を売っています。

一口食べてアルゼンチン風おにぎりだと思いました。

おにぎりの中身は人参を海苔で煮込んだ人参サーモンと呼ばれるビーガン料理に、クリームチーズ。ご飯にはかすかに酢を混ぜていました。

米の炊き方は完璧で、人参サーモンとクリームチーズの組み合わせも最高でした。ほんのり酢味も新鮮でした。

凄い、美味しい!と感動しました。

 

ネットでこれだけ世界中の情報が溢れているなかでも、田舎では、ともすれば私が日本の代表みたいに思われてしまう時があるけれど、私の知っている日本が日本の全てじゃないと気づきました。そもそも人生の半分はここアルゼンチンで暮らしているのですから、私が現代日本を語ることの方が難しいかもしれません。

それにおにぎりは、日本食は、こうじゃなきゃいけない!という事は何にもなくて、その土地でそこに住む人たちの好みに合った物を楽しんで工夫していけば良いんだと感じました。

 

もう7月も終わります。

猛暑の日本。どうぞみなさまお体に気をつけてお過ごし下さい。

 

 

 

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