時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

春の香りに包まれて

11月は香りの季節です。

早朝外に出ると玄関横に生えている、つる性の植物の花の甘い香りに包まれます。

日中林を歩くと、野生ランの甘い香りが漂っています。

語彙が少なく、文章力もないので、ただ甘い香りとしか表現出来ないのが悔しいですが、それぞれが独特の香りを持っていて、決して同じではないのです。

幸せの香り。

優しい香り。

心が弾む香り。

この香りの中では、何時も心が軽くなって、大げさですが今ここにいる、ここで生きている幸せを噛みしめることができます。

きっと今が一番花の色で景色が染まる艶やかな季節です。

エニシダが満開です。ルピナスも咲いています。カラファテの小さな丸い黄色い花も、ライラックも、名前も知らないけれど、白や黄色やピンク色の花達もお日様の中で輝いています。

ローズヒップの花も咲き始めました。ケシも大きな蕾が膨らんで来ています。畑の中では種用に残した大根とキャベツの花が風に揺れています。

12月の中頃まで色んな花を楽しむことができます。

観光客が多くやって来る夏は直射日光が強く、乾燥で土煙が舞い上がり、乾いた種がパチパチ弾け、花の少ないカラカラの季節です。

そして再び車と人と騒音が少なくなる頃、紅葉と収穫のほっとする秋がやって来ます。

意地悪ですが、本当の美しい季節が都会人の夏の休暇とぶつからなくって良かったと思います。だってこの美しさを感じたらもっともっと人が増え、自然をコントロールして自分達に都合よく作り変え本来の自然が破壊されてしまう事が多いからです。

 

今年の夏は思い切ってレンガでストーブを作り直すつもりです。

3年近く前に大きな薪ストーブを買いました。大きな薪が入れられるので便利になりましたが、思ったほど家が温まらず、薪の消費もあまり以前と変わらず、そう遠くない将来、薪準備が今ほどできなくなった時のことを考え、出来合いのストーブではなく、我が家に合ったストーブを作り直してもらうことにしました。

レンガのストーブは保温が長持ちし、薪消費も少なくて済みます。当然大きな薪が入れられるよう焚き口と奥行きを大きくしてもらいます。

耐火煉瓦を買い、耐火ガラス付きの扉は特注しなければなりませんが、農場には粘土が豊富にあるし、一番高い人件費は今有るストーブと交換する事が出来たのも決心がついた大きな理由の一つです。

また彼らが作ったストーブをいくつか見に行き、その仕事の丁寧さに感動した事もあります。

 

結構大掛かりな仕事になるので少々不安はありますし、ここはアルゼンチン。予定が急に変わったり、中止になる事も当たり前にありますから、焦らないことにします。

新しいストーブの前で犬や猫達と炎を見つめる自分をのんびりと楽しんで想像しています。

 

 

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食べたくなるような甘い香りです

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今日は雨。ストーブを焚いています