時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

綺麗だった。自然の贈り物。

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11月になりました。

日本は紅葉の美しい季節の筈ですが、大型台風と大雨で大きな被害が出たと聞きました。

被害に遭われた方々が、一日も早く落ち着いた日常に戻れる事を祈っています。

遠くにいる私にはそれしか出来ません。

 

パタゴニアは寒い春になっています。雨が降ると山は雪になり、家では一日中薪ストーブを焚いています。

でもりんごの花が咲き、日当たりの良いところでは、のぼり藤ルピナスが咲き始めました。エニシダも黄色い花がちらほら見えます。

今年は味噌や豆腐と交換に、畑仕事を手伝ってもらいました。ここでは物々交換がまだ生きています。物だけでなく労働や何かを教えたりと言った事も有効です。

友人から貰ったキャベツやブロッコリーの苗を植え、ほうれん草、レタスなどの種も蒔きました。畝の上に可愛い芽が出始めています。

肌寒かったり、ポカポカ陽気になったりしながら、今月末には一気に夏の暑さがやってくるような気がします。

我が家は西の斜面にあり、少し窪地なので陽当たりはあまり良くありません。しかも25年間木の種をまき続けてきて、周りは松や白樺、楡、ポプラ、りんごやプラムの果樹が大きく育って益々見晴らしも陽当たりも悪くなりました。(でもその代わり護られているような温かい安心感に包まれていますが。)

この季節、マジン村では陽当たりの良い場所にカラファテの黄色い花が光る様に咲いています。私は濃い黄色のかわいいこの花が大好きです。

家より標高の高い乾いた場所でも、陽当たりがよければ1mくらいの灌木が大きく広がって、見事に花を咲かせています。そんな風景を見るたび、羨ましいと思っていました。

ところが今年は家のすぐ近くで花がいっぱいに咲いているカラファテを見つけました。

ずっとここに育っていたのに、私の目が見ていなかったのでしょう。

綺麗だなあ。可愛いなあ。

健康のために歩かなきゃと思いつつ、転ぶのが怖くて、以前は毎日犬達と歩いていた林の中に行かずに、しっかりとした車道だけを歩くようになってしまいました。

ですからキノコも季節の花も、鳥が運んだ種から芽を出したさくらんぼも見つけることはなくなっていました。

寂しいなあと思いつつ、何かが少しづつ変わっていくのだから仕方ないと思っていました。それに出来なくなったことよりも、出来ることを見つけて楽しんでいこうと思っていました。

だから、こんなに近くにカラファテの花が綺麗に咲いてくれたことが、出歩けなくなったわたしへの自然からの大きな贈り物に思えました。

今まで一緒に生きてきた。そしてこれからも一緒に生きていく。そんな時間の流れの中で、何よりも「今一緒にいることの幸せ」をしみじみ感じています。

今年も家の前の姫りんごの花が満開です。食用りんごの木は、花が多く咲く年とそうでない年が有りますが、姫りんごの花は毎年必ず木いっぱいに見事に咲いてくれます。