時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

私の道

前回に続いて焼き物のお話。

 

最低でも一年に一回は窯焚きをしていましたが、ここ数回ずっと焼き不足、温度不足でいつも目指している、蒼色が出ませんでした。

釉薬は粘土と灰に温度を下げる融解剤を混ぜて作ります。

時々落ち葉を置いてみたり、鉄粉を振ってみたりします。

前回の焼きで、釉薬をかけた作品はうまく解けず、ぶくが出てしまったので、今回は灰を入れずに農場の粘土にボラックスかフリッタを1:1の割合で混ぜました。

友人の作品は素焼きだけにしてもらい、安定して焼ける窯の一番奥に入れました。

真ん中から手前は私の素焼きか、釉掛け作品にしました。

一応穴窯ですから、火を入れる焚き口の近くは炎が当たり、温度も奥よりもずっと高くなり、歪んだり釉薬が流れて棚板にくっついたりする確率が高くなります。でもその分市販の釉薬にはない、迫力ある自然の色が出ると思うのです。

私は陶芸家でも無く、それで生計を立てているわけではないので、安定した色や形の作品よりも、炎と農場の粘土の生み出す作品を目指しています。

 

この形の窯は初めての人達ばかりで、頼りない私が私の感覚を頼りにリードをとって焼きました。

 

本当は3日くらいかけて、ゆっくり焼くのが良いのでしょうが、そこまでの根性や体力や集中力が無いので、10時間から15時間を目標に焼きます。

 

薪は全部自分で農場の松を切り用意しましたが、窯入れは自分の作品は自分で入れてもらい、焚き口も一緒にああでも無いこうでも無いと考えながら作りました。(小さ窯なので作品を入れる専用口は無く、毎回焚き口をレンガで組み立てています)

窯に入って作品の窯積みをする事や、用意した薪の大きさが揃っている事や、焚き口を組み立てる事や、松だけで焼く事や、全てが初めてのことだった様で、こちらが恥ずかしくなるくらい感動していました。

 

何時もは一番手前に形の崩れ易い作品を置いて、その変化を見て窯留の最終決定をしますが、今回はそんな作品が無く、炎や中の作品の光具合を頼りにしました。

焼き物をしている友人の意見もとても心強かったです。

 

時間的には10時間と予定より短めだったので、もう少し粘っても良かったかなあと不安もありましたが、3日後の窯開けで取り出した作品は、思いとは大きく異なっていました。

粘土が溶けてしまうギリギリの温度でした。

溶けてお互いがくっついてしまった小皿たち。

釉薬が流れすぎて敷台とくっついてしまった器。

歪んだコップ。

焼きしまって膨らんだ動物たち。

 

目を見張る様な鮮やかな蒼色は出ませんでしたが、久し振りの高温焼成となり、嬉しかったです。

中でも一番奥に入れた友人たちの作品が、想像もしていなかった見事な明るい焼締になっていて大満足でした。

 

久し振りにやったー!焼いたなあ!と充実した気持ちになりました。

 

これからは日が短く寒くなるので、みんなで窯焚きをするのは難しくなりますが、春の風の季節の前に、今度はちょっと宣伝して興味のある人なら誰でも参加出来る窯焚きをしようと思います。

 

さてそれまでに、もっと作品を作らなきゃ!

 

前回の窯焚き報告記事は、ひどい誤解があり残念ですが削除させて頂きました。

 

 

 

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作品たち