時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

希望に出会う

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幸せの情景

 

突然 冬がやって来ました。

待望のまとまった雨が3日続いた後、抜けるような青空が広がる快晴に変わりましたが、気温はマイナスに下がり、霜で真っ白になる朝がやって来ました。

まだ5月の初めだと油断していたので、この寒波には体も心も驚いています。

畑には取り残したキャベツやふだん草が、木には取りきれなかったりんごがバリバリに凍っています。

夜に凍った大地が日中の太陽で表面だけが溶け、ズルズルヌルヌルのぬかるみになってしまいます。

アンデスの山は見事に紅葉して、雪のベールをまとっています。でも里の黄葉した木々は、どんどん葉を落とし、寂しい風景に変わっていきます。

 

ここ数年私が気になっているのは、以前は当たり前に群れをなして農場にいた野鳥がいなくなってしまった事です。朝ワンコ達のご飯や木に残ったりんごをついばみに来ていた賑やかな小鳥達の姿が消えてしまった事は、寂しさよりも不安を感じます。

ただハチドリはやって来て、バルルルと見事な羽音をさせて飛び回ってくれています。それは嬉しい光景です。

 

今年の冬は暖かいと言う人と、厳しい寒さになると言う人がいて、さて?どんな冬になるのでしょうか?

私はなんとなく、乾いた凍りつくような冬が来るような気がしています。

 

先日エルボルソンの街を歩いていたら、面白い看板をみつけました。

「KIBOU」 希望?

なんと素敵な名前。スピリチュアル的なお店か講習会の宣伝かな?と思ってよく読んでみると、コピーとか印刷関係のお店でした。アルゼンチン人の友人にスペイン語でKIBOUという言葉の意味を聞いたら、それはスペイン語じゃないよとの返事でした。

それじゃやっぱり「希望」だと思いました。

店まで行って話を聞くほどの好奇心や行動力もないので、どんな意図でそう名付けたのか分かりませんが、アルゼンチンのパタゴニアの小さな街でこの言葉に出会った事が嬉しかったです。

 

こんな世界に変わって、大きな抗えない歯車に巻き込まれていくような恐怖を感じていましたが、どんな時にも、どんな状況の中でも希望はあって、それは人が前に進む力になっていくんだと思います。

私は今ここにいる、ここで生きている、そんな奇跡を感謝して楽しんでいこうと思います。

 

 

 

 

 

 

 

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