時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

心地良かった。一緒の時間

数年前、送ってもらった日本のDVDで、トルコの料理を見ました。

野菜や肉を焼き物の鍋に入れ、蒸し焼きにする料理でした。私はグルメとか人気レストランとかに興味がないのですが、その時は蓋が高く独特の形で面白い焼き物だな、蒸し焼きだから美味しいだろうなと、妙に心に残っていました。

 

7月に入り、パタゴニアは冬休みのシーズンになりました。私は休まず日本語の授業をしますが、生徒さんは暖かい地方へ休暇に行ったり、観光地へ出稼ぎに行ったりして、初級クラスは2人だけになりました。

先日「一緒に~しませんか?」の言い回しを勉強しました。「しません」と言う否定形ですが、「か?」を付けることで、丁寧なお誘いの意味になるんだと説明しました。

一緒に旅行しませんか?ー すみません。ちょっと…。

一緒に映画へ行きませんか?ー はい。喜んで。

一緒にダンスをしませんか?ー はい。ダンスをしましょう。

 

いろんな場面を想定して練習をした後、生徒の1人、バルバラ

「一緒に、タジンを食べませんか?」と言ってきました。

「タジン?」

「2年前トルコを2ヶ月旅行したの。タジンってトルコ料理の名前なんだけど、オアシスで料理教室に参加して覚えたの。焼き物の鍋も買ってきたんだよ。私達はベジタリアンだから野菜だけで作るね。すっごく美味しいんだから。」

ぽかんとする私に彼女は早口のスペイン語で説明してくれました。

そして、ずっと前にDVDで見て気になっていた料理のことなんだと気付きました。

「アルゼンチンで材料は手に入るの?」

「調味料とか買ってきたのがまだあるし、野菜はあるもので作る。」

そしてもう一度、たどたどしい日本語で

「一緒にタジンを食べませんか?」と誘ってくれました。

勿論即答しました。

「喜んで!ありがとう。」と。

 

バルバラは隣町のラゴプエロに住んでいます。もう1人の生徒マルティナと待ち合わせしてお昼過ぎに私の車でバルバラの家へ行ってきました。

授業では時間がなくて個人的な話をする事がほとんどありませんでしたから、彼女がパタゴニアに来てまだ7ヶ月だと言う事や、一人で家を借りて三匹の犬と住んでいる事や、アーティストで彫刻やモザイクをしている事など、色んな話ができました。

 

タジンは野菜がとろける様に柔らかく、香辛料も控えめに作ってくれて、本当に美味しかったです。少食を目指しているけれど、今回ばかりはお代わりしてお腹いっぱい頂きました。

こんな形で、気になっていた料理と焼き物に出会え、スペイン語が満足に話せず会食が苦手だった私が、とてもリラックスして楽しい時間を過ごす事ができました。

付き合いって、一緒に過ごした時間の長さよりも、ありのままの自分が安心していられる事が一番だと思いました。

この歳になって、むしろ、この歳になったからこそ、そう言う付き合いができる人が少しづつ少しづつできてきたんだと思います。

日本にも、このブログを通して知り合い、2回しか会っていないけれど、心がとろける様な友人夫婦がいます。オステオパシーの免許を取得した彼女が最近独立しました。

私も日本帰国時に施術してもらいました。私はスキンシップが苦手で針もマッサージも体に触られると緊張してしっくりしませんでしたが、不思議と彼女の手は心地よく、長旅で出ていた腰痛が、あれ?と思うくらい無くなっていました。オステオパシーと彼女の治療院についてはこちらのサイトをどうぞ。https://penguindo.net/

 

きっとこれからも色んな縁で出会える人達がいるんだと思うと、とてもワクワクします。

もう無理しなくていいんだなと、心が軽くなりました。

 

 

 

 

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