時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

あじわうパタゴニア

写真は南極ブナに出るきのこです。
こちらではhongo de llano llano(ジャオジャオきのこ)と呼ばれていて、木の幹にぼこぼこ出て、やがて乾いて木化し瘤になります。
実はこのきのこが出るのは11月です。今は干からびて木化されつつあります。
ずっと以前、我が家に押しかけ滞在した日本人のカメラマンが、「このきのこ、茹でてわさび醤油で食べると美味しいよ」と言ったら、食べきれもしないのにビニール袋一杯、それこそ根こそぎ取ってしまった事があって、それ以来、旬の時期には内緒にしているのです。
茹でるとヌメヌメが増し、こりこりしていてほんのり甘く、私は大好きです。
健康維持のため、数年前から小麦を食べる量を減らし(ゼロを目指しているのですが、なかなか難しいです)玄米、生菜食を基本にしています。動物性タンパク質が私には合わないと分かり、チーズやクリームは美味しくて好きですが招待された時以外食べていません。
「そんなんでは栄養が偏るよ。大丈夫?」
と心配される事もありますが、栄養の常識が本当に人の体に良いものなのか、今は疑問に思っているので、自分の一番気持ちのいい方法、一番調子がいい方法を選んでいくことにしています。
元々食には関心が薄く、グルメとか郷土料理とか隠し味とか、そういう事を探求し楽しむ事もありませんでした。
ここへ来た時は、自分で作り出す面白さも感じ、いろいろ挑戦し作ったりしました。けれども食事療法を始めてから、食に対する考えがずいぶん変わりました。それで以前の様にパンを作ったり、うどんを打ったりしなくなりました。そして山菜をとって、工夫して食べようという気力もなくなりました。
きのこを探す集中力や視力が追いつかなくなった事や、林に入って藪をかき分けて根曲竹の新芽を収穫する運動能力が衰えた事も大きいです。
でもこのジャオジャオきのこだけは、旬に少しづつ収穫してきて楽しんでいます。面倒なアク抜きや調理が必要ない事も私にピッタリです。
私の春の味、パタゴニアの味です。

今年もまたクリスマスが近づいています。イブの夜の大騒ぎが、ずっとずっと憂鬱でした。
今でも好きにはなれませんが、でも憂鬱になる事もありません。
一年に一度の大騒ぎ。みんな楽しんだらいいよ。好きな人や家族と素敵な夜を過ごしてね。ただし爆竹は怖がる動物たちのため控えめに。火事には気をつけてね。と思える様になりました。
幸い今のワンコたちは真夜中の爆竹音にも驚かず、怖がる事もないので助かります。

環境の変化や対人関係、私の周りを取り巻く色んなことは驚くほど変わって来ているはずなのに、私の中で淡々と静かに時間が流れていきます。
今年もまたクリスマスをパタゴニアで迎えられた事、感謝したいと思います。
皆様も楽しい時間をお過ごしください。