時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

「蜜の味、ブンブンブン」

私は花の事は全く分かりませんがエルボルソンはラベンダー、ローズマリー、バ ジル、セージなど西洋ハーブ栽培が盛んで、野生の様によく育ちます。
また夏乾燥しているからかドライフラワーが盛んです。
我が家の自然農場にも20年株のラベンダーがあります。栽培物に比べると花の 数も少なく大きさも小さいですが、毎年この時期、つぼみの時に刈り取 り乾燥 させます。
これはお茶にしたり、入浴剤にしたり、つるして芳香剤にしたりします。また茎 の部分は燻すととても良い香りが家中に広がります。

今年も薄紫色のつぼみが株の先を染め始めたので、花が開く前にとハサミを持っ て収穫に行きました。でも私は収穫を止めました。
それはマルハナバチがブンブンブンと花から花へ飛び回って蜜を吸っていたから です。

今年は例年にない乾燥で、雨が全く降りません。草も立ち枯れを始め、折角たわ わに付いているプラムもすももも熟せず、堅いまま実を落とし始めてい ます。
草木の花は咲いても水不足で蜜が十分出ていないのでしょう。でも乾燥に強いラ ベンダーには蜜が出ているのだと思います。
こんなにラベンダーにマルハナバチが来ているのは始めて見ました。

まだ殆どの花はつぼみです。ですから咲いている花を求めて忙しく飛び回ってい ました。ラベンダーの蜜はどんな味がするのでしょう??

私はラベンダーのお茶がなくても生きていけます。入浴剤には茎や葉で十分です。
今年の我が家のラベンダーは収穫してドライフラワーにせず、思いっきり開花さ せてマルハナバチたちに楽しんでもらおうと決めました。
そういえば・・・もう20年もこのラベンダー達と暮らしているのに、満開の花 を一度も見た事がありません。なんと勿体無い事を、と思います。

もっと花が咲いたら、もっとマルハナバチたちがやってきて、あの豪快な羽音で 飛び回って私を楽しませてくれる事でしょう。
いっしょに生きるって、なんて楽しくて幸せな事なんでしょう。