時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

「ローズヒップのジャム」

今年は春の訪れが遅く、花の季節の10月に季節外れの雪もあって、木苺やプラム、花梨の実がつきませんでした。ですから、恒例のジャムつくりも今年はほとんどしていません。

家の脇のすっぱい青りんごは小さな実がついたので、それで3kgジャムを作っただけです。自分で言うのも何ですが、私の作るジャムは砂糖の甘さが少なく果実の香りや味が出ているとなかなか好評です。「おだてもっこ」に乗って好い気になるのが得意な私は、「おいしい」と言ってくれる友人の顔を思い浮かべながらジャム作りをするのが楽しいのです。

私のジャム作りのコツは、一度に大量に作らないことです。毎朝、家庭用の「無水なべ」を使い、薪ストーブの上で1kgの果実をじっくり煮ます。この時に砂糖は入れません。まず果実だけを煮て水分をとばします。そして焦げ付く前に砂糖を800g入れ、火から少し離した場所で、根気よくかき回してゆっくり煮ます。長年の「勘」で、「よし!」と思った時にストーブの上で温めて置いた瓶に詰めます。そして熱い内にきっちり蓋をして終わりです。こうして毎年「ラズベリー」「りんご」「プラム」「すもも」のジャムを作っきました。

ところが今年はこの時期になっても、食糧倉庫の棚には空の瓶が大量に並んでいます。自給用も満たされていません。果実を買ってまで作る気はしませんから、今年はもう何年も作っていない「ローズヒップ」のジャム作りをしようと決めました。

ローズヒップはわが農場内にわんさか実っています。今年の冷夏の気候が余程合ったのか、実も大きく綺麗です。でも、もう何年もこのジャムを作っていないのには大きな理由があるのです。それはこのジャム作りには根気と手間と時間が必要だからです。

先ず棘だらけの株から注意深く実を収穫する作業から始めます。実を一つ一つ収穫するには結構手間が掛かります。それから額の部分を手で取り除きます。こんな面倒な作業誰もしませんが、出来上がったジャムの見た目と味が変わるので、私は頑張ってします。それからひたひたの水に入れ、実がどろどろになるまで煮出します。青果には殆ど水分がないので、こうしないとジャムにならないのです。それを布でこして絞り、一晩そのままにして翌日透明な上澄みを捨てます。底にたまったどろりとした果汁を無水なべで煮詰めます。そして最後に砂糖を入れ程よい硬さになるまで煮詰めて瓶つめです。

水で煮るため、砂糖の分量と煮加減を誤ると、瓶の中で発酵してしまったりカビが生えてしまったりします。

それでも手間隙掛かるだけあって、このローズヒップのジャムはとても美味しいです。美味しいと分かっていても、その作業の大変さにずっと作ってきませんでしたが、今年は気力を充実させ、時間を作って作るつもりです。

ここ数日朝はマイナスに気温が下がっています。この寒さでローズヒップの実も甘さを増した様です。ジャム作りは写真入りで紹介しようと思いますが・・・・さて何時になりますことか・・・。