時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

「パタゴニアでの運転免許証更新」

アルゼンチンでは身分証明書が重要で、全ての国民が自分の番号の身分証明を持っています。アルゼンチン国籍が無くても、永住権を取得した場合はこ の身分証明書が発行されます。国籍が違う場合は外国人用になり私の場合1994年取得時に93,25○,○○○番でした。5年前取得した友人の番号は94,4○○,○○○番でしたから、かなりの人数が移住した事になります。
この身分証明書を持っていると外国人でも、アルゼンチン人とほぼ同じ権利が与えられるので、生活する上でとても重要です。
私が移住した1994年はアジア人の移住規制が厳しくなりつつあり、加えて移民局がストライキばかりしていました。個人で日本人流にまじめに手続きしていたら後回し、書類紛失などできっと何年も身分証明書を手にする事が出来なかったでしょう。
幸い日系の凄腕の友人弁護士さんの御蔭で11か月の期限付きでしたが、すぐに身分証明書を手にする事が出来ました。これは私の移住生活スタートの とても大きな力になりました。ただ、11か月の間に永住に切りかえる予定が、移民局の長期ストライキ、法律改正で結局3年もかかってしまいましたが。
身分証明を手にして先ずしたのは自動車の運転免許取得でした。これは当時住んでいたブエノスアイレス州ネコチアという港町で手続きをしました。自分で病院へ行って健康診断、視覚、聴覚検査をし、医師の証明書を持って警察へ。そこで実技と筆記試験の日程を決め、当日は自分の車で試験に挑みます。車持参ですから当然アルゼンチンでの免許も無いのに家から自分で運転していきました。そして警察署の前から助手席に試験官を乗せ実技試験場へ。交通の多い町の中心部も通り結構緊張しました。運転中に試験官が簡単な口頭質問をして、それが筆記試験の代わりとなりました。実技試験は車庫入れ、ジグザグ運転、バックなど一通りの運転技術を試され結構難しかったですがなんとか合格し、免許証を手にする事が出来ました。その時受け取った免許証の有効期限が10年だったのには驚きました。
その後有効期限は流石に5年ごとになり、先週アルゼンチンで3回目の免許更新をしてきました。
更新に必要なのは医師の診断書です。私は病院嫌いですからアルゼンチンへ来てから一度も診察を受けた事がありません。それでも病院に5年前の免許書き換えの時のカルテが残っていて驚きました。
小一時間待たされ診察室に。血圧を測り、視力検査をしました。後は「色盲じゃないな」「何か病気はあるか」の問診に「問題ありません。健康です。」と自己申告して終わり。公立病院へ行ったので無料です。
その診断書と身分証明書のコピーと写真2枚を持って市役所の交通課で手続きをしました。発行は3日後と言われ6日後に行ったら、私の提出書類を引出しから探して、写真をハサミで切って糊で貼り、色んなハンコを押してその場で免許を作成しました。全く何もしていなかったのには流石に驚きまし たが紛失していなかっただけ有難いと思う事にしました。ペラペラな紙の免許証に私がサインをし、プラスッチク処理してくれて完成。費用は200ペ ソ(約4000円)でした。
写真は自分で撮って持っていかなければいけないのですが、5年前撮った証明写真が2枚残っていたのでそれを持って行きました。どう贔屓目に見ても 今の自分より5年分若く、髪もふさふさだし、顔のたるみもありません。幸い小さな写真ですからしみしわの細部までは分からないのが救いです。
このインフレです。私にとって証明写真の出費でも痛いのです。何か言われたら撮り直せば良いやと持って行きましたが、幸い何も言われませんでした。
と言う事で、私の新しい運転免許証は古いのと同じ顔写真です。5年後の更新時には10年前の顔と言う事になります。激変しないように、これから少しはお顔のお手入れをしようか・・・いやいや今さら遅いか・・・。
日本で免許更新をした時、髪を切る前の写真を持っていたっら、たった1週間前の写真なのに散々小言を言われ撮り直しさせられた記憶があるので、今回はパタゴニアの緩さを感謝しました。
この自動車免許更新は各市で違い、ブエノスアイレス州などではかなり厳しいと聞きます。

ところで身分証明証の方は書き換えが無く、写真はそれを受け取った時の顔。私の場合は移住した30歳の時、でもアルゼンチン人の場合は16歳の時のなんです。つまり顔写真をそんなに重視していないと言う事なんでしょうか?
もしアルゼンチンで友人が出来たら、身分証明証の写真を見せてもらったら面白いですよ。貫録ある中年のおじさんが長髪のヒッピーさんだったり、超肥満さんが痩せ痩せだったりしますから。

写真は上が新しく更新した物。顔写真が同じなのに、サインが微妙に違うので笑えます。