時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

「バイオトイレ」

真剣にバイオトイレを研究しようと思って検索して、このブログに辿り着いてしまった方。ごめんなさい。
これはのうじょう真人での特製バイオトイレのお話で、他の場所ではおそらく何の参考にもならないと思います。
別宅作りはこのブログでも時々報告していますが、構想段階の時は江戸時代の長屋風にしたかったので、風呂やトイレを家の中に作る事は考えませんで した。
けれども農場の暮らしは肉体労働が主。夏の暑い日、汗を流せるシャワーは欲しいと思い、設計時に80cm×80cmの最小限のシャワー室を 家の中に 作りました。でもトイレは外と決めていました。家付き土地を購入したので、今住んでいる家は水洗トイレがあります。我が家に初めて来られた方の多くは田舎の不便な家を想像しているのでこの水洗 トイレに驚きます。けれども流した水は外の大型タンクに溜まり、一年に一回自分たちで汲み取り撒いているのです。でも水分が多く上手く発酵しておらず結構大変です。それに この仕事、とっても無駄で不自然に思え楽しくありません。
それでトイレはバイオにしようと色々検索で調べました。調べれば調べる程、バイオトイレ作りの難しさを実感しました。匂いの問題、上手く発酵させ る為の構造。資材入手の問題もありました。
予想以上に家つくりに経費がかかり、資金難から「買えばいいや〜」と簡単に言えなくなっていたので、持っている物でお金をかけず、なおかつ無駄なく自然に還るトイレを作ろうと考えました。
一番簡単なのは昔日本でもあった汲み取り式トイレです。でも汲み取りの大変さは実感していましたから、大穴を掘って溜まったら埋め次に移る移動式 にしようかとも思いました。でも、穴を掘る労力、トイレそのものを移動させる労力、そして使用している時の匂いや見た目を考えるとためらいまし た。
で、気づいたのです。自分の物は自分で処理すれば良いんだって。「臭い」「汚い」と思ってもそれは自分の物。誰にも文句は言えません。こうして我 が家の究極バイオトイレが出来上がりました。
林の中に4本柱を建て屋根も付け周りには昔シイタケ栽培で使った寒冷紗を張りました。中は蜂箱を再利用して便座を作り下にバ ケツを置きました。このバケツには林の腐葉土を敷いています。そして自分が利用したら、その都度そのバケツを外に置いてある500リットルのバイ オバケツに空け表面を均しておくのです。ここには家庭の生ごみも入れます。匂いが気になるかと思いましたが、時々薪ストーブの灰や腐葉土を表面に 撒いておいたら問題ありませんでした。
このバイオバケツは一杯になったら熟成させ大地に還す予定です。
またトイレバケツは落ち葉で洗い、次回の為に腐葉土を敷いて箱の中に戻しておきます。紙は別の箱に入れ後で燃やします。ただこのトイレ、大きな問 題があります。それは処理に結構時間がかかり、出かける時や忙しい時など急いでいる時は使えないと言う事です。また雨の日もバイオバケツに空けて 表面を均す作業中に濡れてしまいます。今後の問題点として追々改善していきたいと思います。
本当は林全体をトイレと考えて、各回場所を変え、自分で埋めておけば自然に還るそれこそ究極の自然に逆らわないトイレだと思うんですが、我が家に は3匹のお犬達が居ます。喜んで穴を掘り返している姿が目に浮かび、日に何度も犬たちに抱きついている私としては、その大自然トイレは却下としま した。
田舎のガサツなおばさんである私は、このトイレ気に入っていますが、現代人、都会人には結構抵抗があると思うんです。そういう方は今まで通り家の 中の水洗トイレを利用して頂けば良いと思います。ただ自然と共存するという事を考えた時、やっぱりトイレは一番最初に真剣に取り組む問題なんじゃないかと思います。