時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

「パタゴニア流家つくり」

今年の春は低温気味で、天候も曇り、小雨とはっきりしない日が続いています。
待望の家つくり、大工さんがヨーロッパの休暇から帰ってきていよいよ始まりました。
そこでしばらくここで、パタゴニア流家つくりを紹介していきたいと思います。

10月17日大安吉日基礎工事が始まりました。大工さんの都合で決まった日付ですが大安と重なり、幸先がいいと喜んでいます。
初日は斜面を削り家を建てる場所の整地です。場所は水や電気の便、資材運搬など私なりに考慮して決めましたが、西向きの斜面なので、土地を水平に するためにかなり削りました。
日本なら基礎を築くという感覚ですが、ここは高い所を削って低い所にその土を盛り平らにします。ですから土を盛った場所は基盤がゆるくふかふかで す。
「これで大丈夫?」の質問に「心配するな。大丈夫。今まで家がこけた事なんかない。」とのいたって楽天的な答え。地震が殆どない国ですが、流 石に心配で資材が運びこまれるまでの一週間、私たちは毎日その盛り土した場所に水をまき、たたき固める土木作業に明け暮れました。
10月29日二回目の作業です。5m×4mの家の基礎、コンクリート打ちです。基礎の太さがまちまちで、なんかアルゼンチンらしいなあ〜と笑えま した。我が家の犬たち、工事現場に入り浸りはしゃいでいましたが、思った通り打ったばかりのコンクリートの上を歩き、可愛い足跡をつけてくれまし た。
コンクリートが乾いた11月5日からはいよいよ本格的な家つくり、煉瓦積みが始まりました。一応設計図を書きましたが、実際に煉瓦が積まれ家の形 が出来上がって来ると、いろいろ直さなければいけない所も出てくるので、大工さんと相談しながら、最終的には自分たちで決めて行きます。なんでも 人任せの私には、「ここをどうするんだ?」「高さは?」「形は?」等々細かいところまで聞かれ、自分で考え決めなければいけない事に驚きました。 しかも資材も自分たちで資材屋へ行って交渉注文しなければいけないのです。当たり前といえば当たり前かもしれませんが、残念ながら日本のように信 用第一ではないので、油断すると簡単にだまされて高い物、余分な物を買わされたり、お金を払ってもなかなか持ってきてもらえない、壊れて届くなん て事がざらにあります。
幸い大工さんと夫が友人で、資材購入に関しての駆け引きなど随分助けてもらいました。人件費は高いですが、信頼できる関係はここアルゼンチンでは 何物にも代えられない宝です。
例年なら今の時期は晴天の日が続きますが、今年は曇り小雨のぐずついた日が多く、毎日作業出来ません。それでもかなり煉瓦も積まれ家らしくなって きました。
台所やシャワー、温水器などの設備も購入しました。
超インフレのアルゼンチン。当初の予算よりかなりオーバーしてしまい、正直かなり青くなっています。見積もりは正直、あって無いようなもの。よく 建てかけの家が何年もそのままになっている事がありますが、その理由が分かった気がします。
この家つくりは、私にとってはとても大きな転機の気がします。50年も生きて来て気付かなかった沢山の事が分かりかけています。多くの人の援助や 協力があって進んでいる家つくり。この経験を大切にしていきます。
次回は家つくりの進行状況と、資材購入に関してのびっくり面白体験を書きたいと思います。


(土台つくり)


(基礎打ち)