時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

「鏡よ鏡よ鏡さん・・・」

我が家は日があまり当たらない構造で、昼でも薄暗いです。おまけにケチな私は無 駄な電気はつけないので、余計暗く感じます。でもお陰で埃や蜘蛛の巣で一杯なのにあまり目立ちません。夏は家に入ると気温がぐっと下がりとて も涼しのも利点です。
こういう家で暮らしていたので、私は自分の顔をよく見たことがありませんでし た。でも最近町のスーパーの明るいトイレで自分の顔を見て「「ぞっ」」としてしまいました。髪も薄く、しわが増えて年以上に老けていたので す。
「ええっ!!!これが私???なんて醜い・・・」
本当にびっくりして鏡を正視出来なくなりました。
同年代や年上の友人知人はそれなりにしわもあるけれど、みんなとっても綺麗なの です。だから私もそういう人に囲まれて自分も同じだと勘違いしていました。
自分が綺麗だと思ったことはありませんが、正視に堪えないほど醜いとも思ってい なかったので、それは大きな衝撃でした。
明るいところでは耐えられなかったので、家に帰ってから薄暗い部屋で自分の顔を じっくり鏡で見てみました。そして気味悪いですが、一人で百面相をしてみました。そして気がついたのです。笑うとしわが目立たず、醜さが緩和 されることに。
そう言えば私は心から笑ったり微笑んだりすることがあまり無かったと。ねたみや 僻みはいつも持っていたけど、思いやりとか他人への祝福の気持ちが凄く薄いことに。
50年 の歳月がその心を顔に写したんだなあ・・・。
心が優しい人は顔も優しくなります。明るい人は明るい顔です。そんな当たり前の こと、今更気づきました。顔の作りが悪くても、しわやしみや傷があっても、本当に大切なことはそんなことじゃあないんでしょう。
綺麗になろうなんて高望みはしないけれど、感じのいいばあさん目指して、毎日微 笑んでいようと決心しました。
鏡よ鏡よ鏡さん・・・現実を見せてくれてありがとう。

もう2月 です。山火事があっても、火山灰が降っても、エルボルソンは観光客で溢れています。宿もバスも週末は一杯です。また残念なことにすりや置き引 きも増えています。気を緩めすぎず、緊張しすぎず、パタゴニアの夏を楽しんでください。川や山はアブが一杯です。多少暑くても長袖長ズボンの 方がしのぎ易いですよ。