時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

「パタゴニアの秋」

私は子供のころから秋が好きでした。暑かった夏が終わり、ぴりりとした冷たい空気を朝夕に感じるようになると、ホッとする様な安心感を覚えました。

パタゴニアに暮らすようになってから、益々秋が好きになりました。

山の見えない土地で育った私は、今、毎日部屋から山が見えることだけで嬉しいです。特に4月の末から5月の中までは、紅葉で染まった山を毎日何回も飽きることなく眺めています。山を赤く彩っているのは、レンガと呼ばれる自生の南極ぶなの仲間です。

今年は例年に比べ夏の天候不順で山の紅葉が遅かったのですが、ここ数日の寒さで一気に赤く染まりました。この紅葉の中を歩くのが楽しくて毎年山登りをするのですが、今年は5月になっても行っていません。

それは週3日に増えた町での日本語教室の都合で、天気のよい登山日和に気軽に行けなくなってしまったからです。「さあ、明日は山に行こう」と思うと、何故か雨や曇りになってしまうのです。

アンデスの冬は早足でやって来ます。そろそろ木の葉も散り始めています。毎日はらはらしながら山の紅葉を見つめています。

この時期の登山は天候の急変と早朝にはマイナスになる低温への十分な対応が必要です。装備や経験の十分でない方は行かないで下さい。山小屋も閉まっている所が多いです。

それでも日帰りで割りと気軽に登れる山に、ペリートモレノ岳とピルトゥリキトゥロン岳が あります。どちらも登山口まではエルボルソンの町から個人タクシーを利用することになります。公衆電話も無く、携帯電話も通じない時がありますから、帰り の迎えはしっかりと確認して下さい。しつこ過ぎる位確認しても、しすぎる事はありません。また、町の観光案内所で登山申告された方が、万一の場合安心かも しれません。

どちらの山もこの時期には山頂までは行かない方が賢明でしょう。紅葉を楽しむなら、高原 大地の前までで十分です。また日没は日に日に早くなっています。遅くとも4時までには登山口に戻るようにして下さい。また当然の事ですが、山の自然には手 を出さないで下さい。ごみを捨てるなんて事は、もってのほかです。

暖かい飲み物やお弁当、非常食。防寒服、雨具もお忘れなく!

私たちも、来週までにはなんとか時間を見つけてペリートモレノ岳登山を実現したいと思っています。紅葉の写真を次回ご紹介出来る事を祈っています。