時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

「エルボルソン地区のトレッキング」

私達は山が好きです。時々時間を見つけてはトレッキングをします。二人で出掛ける時 は留守番の犬猫達が心配で、必ず日帰りになってしまいます。ですからトレッキング出 来る山も限られてしまいます。
主に行くのはペリートモレノ岳(2216m)とピルテュリキトロン岳(2260m)です。昨年夫 はお客様をガイドしてデドゴルド岳(2065m)に登り、この山の虜になりました。
これらの山は何度行っても飽きるという事はありません。それは行く度に違う顔で私達 を迎えてくれるからです。
特に雪解けの始まる11月下旬から12月中旬までは高山植物が咲き綺麗です。日本の様な 高山植物のお花畑にはほど遠く、こちらにぽつり、あちらにぽつりですが、それでも 「良く育っているね。きれいに咲いたね。」と見つける度に嬉しく愛おしくて、一つ一 つに声を掛けています。
特に近年は異常気象、干魃に加え、スキー場開発や観光客誘致の為の登山道整備、家畜 の放牧、山火事などで、手に取るように植物も昆虫も野生動物も減っているのがわかる ので「これで最後かもしれない」と言う思いが強く、切ない気持ちがしています。
エルボルソン地区にはこの他にも、モトコ岳(2077m)、イエローアスール岳(2270m)、リ ンド岳(2135m)、リオアスール渓谷歩きなど、基本装備と体力があればトレッキング出来 る山はあります。それぞれ有料の山小屋がありますし、標識もあって迷うことは無いは ずです。
特にイエローアスール岳とリオアスール渓谷は大人気コースで、12月中から2月いっぱい は観光客、特に若者で溢れています。
トレッキングする理由は各自それぞれ違いますが、私は山に入るなら山の法則に従っ て、自然に迷惑を掛けないトレッキングを心掛けて欲しいと願っています。山では草一 本にだって愛情と感謝を忘れてはいけないのです。植物採取や野生動物捕獲なんてもっ ての他です。また山小屋以外で火を使うのも大反対です。ゴミは絶対持ち帰るべきです し、川で体を石鹸で洗ったり、食器を洗ったりするのも許せません。
木を伐って展望台を作ったり、枯木に彫刻したりする意味もわかりません。人間が手を 付けない自然は、何もない退屈な場所なのではなく、大切な全てがあると言うことが何 故わからないのでしょうか?
山を歩き、風の音を聞き、そこに生きる命に出会い、自分は自然の一部なんだと感じて 欲しいと思っています。
トレッキングには必ず町の観光局(Informes Turistico / Tel:02944-492604, sec_trismo@elbolson.com)で入山登録をし、最新情報を 入手してから行って下さい。12月1月は虻が大発生しています。また直射日光も強く気温 も上がりますので日射病、熱射病の予防もきちんとして下さい。
勿論事前に連絡頂ければ私達もガイドします。
ペリートモレノ岳  ―Cerro Perito Moreno
ドゴルド岳    ―Cerro Dedo Gordo
イエローアスール岳 ―Cerro Hielo Azul
リンド岳      ―Cerro Lindo
モトコ岳      ―Cerro Motoco
ピルテュリキトロン岳―Cerro Piltriquitoron