時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

作る楽しみがあるということ

nojomallin2005-08-02

ぷくっ。ぽくっ。
2日前に仕込んだ「どぶろく」が、元気にかわいい音をさせています。かぶせてある布をそっとめくり、「生きてるんだなあ〜」としみじみ感じながら、飽きずにどぶろくの発酵を見つめます。
私はお酒が飲めません。チョコレートボンボンを食べても、顔が真っ赤になり、頭がいつにも増してポワーとなります。でも、お酒が嫌いな訳ではありません。特にここに住み始めてからは「好き」になりました。この「好き」、実は飲むことより作ることなのです。
最初に作ったのは大量に収穫のあった木イチゴのシャンパン。義父の居た頃はもっぱらビール。蜂蜜の良く穫れた年は蜂蜜酒。今年は凍ったロサモスケータの実でフローズンワインに挑戦しました。いつも自己流、のうじょう真人流。失敗する時もあります。また作っても夫が味見(毒味?)係で、私は殆ど飲みません。ただ、「どぶろく」だけは作るのも、飲むのも大好きです。
最初、「糀」作りは夫の仕事で「私には無理。作れない。」と思い込んで手も出しませんでした。でも夫が日本に帰った年、失敗しても誰も見てないんだからやってみようかな、と見よう見まねで作ってみたら結構上手に出来たのです。それからはお米に糀がついて白くなっていく変化が面白く、糀作りは私の仕事になりました。糀が作れると、一人で味噌も出来るようになり、当然「どぶろく」も私の十八番となりました。
発酵の時期を見計らって、布で一晩かけてゆっくり漉します。日本人以外は「お米の香が嫌だ」と言う人が多いですが、「美味しい」と喜んで飲んでくれる人もいます。私は漉した清酒より、残った粕に蜂蜜とお湯を足し温めて飲む「白酒もどき」が気に入っています。時々はこれをたねにして「どぶろくパン」も作ります。また寒い日は「粕入りみそ汁」で体の中から暖まります。
ぷくぷくと元気に発酵し生きている「菌」を頂く事で、自分にも活力を分けてもらえた気がします。私の良く狂う「勘」で作るので、甘口になったり辛口になったりしますが、「美味しい」と喜んで飲んでくれる人が居る幸せに感謝して、私の「どぶろく」作りは続きます。