時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

「特製どぶろく」

私はお酒が全く飲めませんでしたし、好きでもありませんでした。コップ半分のビールで真っ赤になり、頭がくらくらして直ぐに眠ってしまいまし た。ですからお酒を飲む場所へは行きませんでしたし、お酒を楽しんだ事もありません。
年を取って、それなりに色々な経験もして、相変わらずコップ半分で顔は真っ赤になりますが、お酒を味わえるようになりました。
以前は週に2〜3回はまあまあレベルのワインを楽しむゆとりもありました。アルゼンチンワインは日本でどの程度知名度があるのか分かりません が、種類が豊富で、特に赤ワインは美味しいです。
ところがこの経済危機、超インフレで、我が家ではワインは大切なお客様をおもてなしする、遠方からの友人と楽しむ貴重な飲み物に変わってしま いました。
でも、一旦ついてしまった寝酒の癖からはなかなか抜けられません。アル中はお酒の量で無く、自分の意思で止められるかどうかだと言われまし た。その定義からすると、私はアル中かもしれません。例えおちょこ一杯でも、飲まずにはいられないのです。
で、買えないなら作るしかないとなった訳です。
果実を砂糖で抽出して発酵酵母の原液を作り、それを薄めてアルコール発酵させる自家果実酒。タンポポの花で作るタンポポ酒。自家製ビールも作 りましたが、麦芽つくりが大変でしかも量産できず、麦芽エキスを買ってまで作る気にはなれずに止めました。
また果実酒も、原液が無くなれば次の収穫の季節まで待たなければなりません。
年間通して安心して楽しめるのは、どぶろくしかありません。
米は買わなければなりませんが、一番安いインディカ米で十分美味しいどぶろくが作れます。
日本では家庭でのどぶろく作りは法律で禁止されているらしいですが、幸いここはゆるーいアルゼンチン、パタゴニアです。自家消費なら全く問題 はありません。味噌作りで麹を作った時だけ、一緒にどぶろくを仕込んでいましたが、今はどぶろくの為に麹つくりをしています。
ドブロクは地方や家庭で作り方は色々ある様です。最初は本で調べた方法と材料、分量で作っていましたが、今は私だけの特製どぶろくを作っています。
ではここで私の超いい加減、適当ドブロクつくりをご紹介します。
まず米粒が残るくらいのちょっと硬めのおかゆを作ります。それが人肌に冷めた頃、作っておいた麹を半量混ぜ合わせます。そして自家製のカスピ 海ヨーグルトを入れます。量は全くの目分量。大体500gの米で作ったおかゆに250gの麹。コップ一杯のヨーグルトです。そして一日一回よ くかき混ぜます。
それだけ。水もイースト菌も入れません。
2日目くらいからドロドロになりプクプク発酵が始まります。
私は3日目くらいの甘酸っぱさが一番好きです。濾したりせず、ドロドロのまま頂きます。どぶろくと言うより、アルコール分のある米ヨーグルト と 言った感じでしょうか。
一週間以上置くと、かなりアルコール度数が強くなり甘味も無くなりますから、私は大量につくらず、一週間で飲みきるくらいをこまめに作ってい ます。
麹の出来具合、おかゆの加減、その時の気温、カスピ海ヨーグルトの微妙な量で、毎回味は違いますが、失敗した事はありません。
週2回、健康のため断食をしていますが、その時でもこのどぶろくは飲んで(食べて)います。
健康のために良いのかどうか分かりませんし、特に自覚症状もありませんが、毎
写真はキクイモの味噌漬け。
今はジャオジャオきのこ、焼き根曲がりたけ、たんぽぽの葉のお浸し、アミガサタケのバター炒め、などなど旬のおつまみも楽しめます。
こんなささやかな事でも一日が幸せな気分で終われるのは、本当に有難い事です。