時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

エルボルソンに辿り着くまでのこと

nojomallin2005-06-27

広いアルゼンチン、パタゴニアでの土地探しには車は必需品です。夫は先輩の助けを借り、フランス車プジョーのピックアップを購入、私の運転免許も取れ、いよいよ未知のパタゴニアへ向け土地探しの旅に出発する事になりました。
車が思いの外高く、軍事金の乏しくなった私達は、ホテルやレストランを利用する事は出来ないので、野宿覚悟でキャンプ用品を積み、毎晩穴のあくほど眺めた地図と、生後2ヶ月の愛犬「ちょり」、仔うさぎの「マグマ」と「うにゃにゃ」の新しい家族と共に不安と期待を抱いて2月初旬、残暑のネコチAの町を後にしました。
途中にある大観光地、バルデス半島に目もくれず、ひたすら第一候補地のチュブット州エスケルを目指しました。知り合いが居る訳でも無く、これといった当てが有る訳でも無く、おまけにスペイン語も満足に出来なかったけれど、「行動しなければ始まらない」の信念で車を走らせました。先ずは借家を見つけ、引っ越して来て腰を落ち着け、じっくり土地探しをするつもりで、泊まったキャンプ場のご主人に情報をもらったり、不動産屋を訪れたりしました。ところが、アパートならあるけれど、犬、うさぎ付きの私達が借りられる家がなかなか見つかりません。ここまで来たのだからと、予定外でしたがバリローチェまで足を延ばす事にしました。そしてエスケールから180kmリオネグロ州に入って最初の町エルボルソンに辿り着いたのです。
「のどかでかわいい町」これが私の第一印象でした。また、エスケールの禿げ山に比べると緑が多く、その点でも気に入りました。(まさかたった10年で人口が急増加し、火事、開発で山の自然破壊がこんなにも進むとは思ってもみませんでしたが。)
郊外に2haの土地付き借家も見つかり、半年借りる契約を結び、3月16日に引っ越して来ることを伝え、敷金と一ヶ月分の前金も払い込みました。
「これから始まるんだなあ〜」とうきうきした気分で、2週間のキャンプ生活、計4000km
の土地探しの旅を終え、引っ越し準備をしにネコチアへの帰路につきました。まさかこのエルボルソンで、とんでもない「アルゼンチンの洗礼」を受けることになろうとは、その時は夢にも思っていませんでした。(つづく)