時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

のうじょう真人の冬

ゴオオオー、ドバーン
西のアンデスの谷間から突風が吹き、バケツをひっくり返したような雨の音で目覚めます。
6月、いよいよ本格的な冬の始まりです。
雨か雪、そうでなければどんより曇った日が多く、時々からりと晴れると、気温はマイナスに下がり、どこもかしこもカチコチに凍ってしまいます。
家の中は1日中、薪ストーブを焚いています。湿った薪や生木では、いくら勢い良く燃やしても温度は上がりません。だから、乾いた薪の用意はとても大切です。5,5ヘクタールの、のうじょう真人には立ち枯れや、倒れた木は沢山あるのですが、それをチェーンソーや鋸で切り、人力で運び、斧で割る仕事は結構大変です。でも、そうやって用意した薪だからこそ、暖かさはありがたさと共に、何倍にも感じることが出来るのです。
冬の日は陶芸三昧、と言いたい所ですが、夏に出来なかった服の繕い、ぞうきんや、足拭き、犬猫の敷き布団への古着の再利用(ミシンは無いので、手縫いです)、凍って甘みを増したロサモスケータの実を摘んでお茶やジャムに、糀を作って味噌、どぶろくに、とやりたいことが山程あります。
「冬は退屈でしょうねえ〜」
そう聞かれる度に、冬が大好きな私は、なんだかおかしくって笑ってしまうのです。