時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

のうじょう真人の林檎達

今年も去年も[のうじょう真人]の林檎は豊作でした。剪定も摘果もせず、好きなように大きく育った林檎の木。
果実は虫食いで、握り拳より小さいけれど、一つ一つが,いとおしくてたまりません。
10本以上ある木の内、生食できるのは2〜3本、あとは渋くてすっぱ〜いのです。でもそれだって、とても貴重。輪切りにして干林檎に、ジャムや発酵ジュースに、リンゴ酢に、シャンパンに、蜂蜜と煮てデザートに、ジャガイモと林檎の煮っころがしに、と、この時期は大忙しです。
その中でも私が何より楽しいと思うのは、粘土団子播きです。全ての果実から種を取り出し粘土と混ぜ合わせ、粘土団子を作り農場中に播くのです。
「大きくなってね!」「がんばってね!」と声を掛けながら。
勿論、芽の出ないものも多いし、せっかく出ても野ウサギに食べられたりして、なかなか思うようには育ちません。でも10年、20年後のことを想像すると楽しくて仕方ないのです.
中学からの親友に2年前男の子が生まれました。なんのお祝いも出来ないけれど、その子が生まれた時芽を出し、一番元気の良い林檎の木を記念樹としてプレゼントしました。
秋には落ち葉を、誕生日には写真を撮って送っています。10年後にはきっと実がつくでしょう。その時は親子で食べに来てね!と約束しています。
のうじょう真人に、そんな林檎の木が増えたら素敵だなあ〜といつも思っています。