時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

パタゴニアの8月 私の8月

8月15日 日本ではお盆のこの日、朝から雪が降りました。ふわふわの大きな綿雪で、みるみる積もって周りを白い世界に変えていきました。

「綺麗だな」と「大雪になったら困るな」という気持が半々でした。昼過ぎには止みお日様が出てきたので、一先ずホッとしました。

真っ白に変わった世界を、私は犬のホセフィーナと歩きました。サクサク、サクサク、雪を踏むたびに足の下で弾む音。私とフィーナの足跡だけが残って行きます。

 

8月も半ばを過ぎたのに、寒い毎日です。ストーブを焚いても焚いても部屋が暖まらず、寒くてストーブの前にべっちゃりひっついている事もあります。

移住当初は8月20日が畑初めでした。この日に空豆とえんどう豆を畑にまいていました。ところが今は8月では地面が凍ってとても豆をまく気にはなれません。1ヶ月は春が遅くなっている気がします。

 

日曜日はアルゼンチンの子供の日でした。日本の様に柏餅を食べたり、鯉のぼりが空を泳いでいたり、そんな伝統的な事は何もありませんが、子供たちは大人からプレゼントをもらい、ホームパーティをした事でしょう。今年はみんなで集まることが出来ずにちょっと寂しい日になったかもしれません。

翌日はサンマルティン将軍の命日で祝日。連休でしたが、どこへも出かけることもできず、みんなそんな風に過ごしたのでしょう?

 

今年は山に雪がたっぷりあるのですが、スキー場に観光客はいません。アルゼンチンは今でも州を超えての移動には許可証が必要です。同じ州でも町から町の移動が簡単にできない場所もあります。国際観光地のバリローチェは同じ州ですが、許可なしには行けません。

町のレストランや喫茶店は閉店のままです。

 

昨日からアンデスの雪の峠を越えてくる冷たい風が吹き荒れています。これから1ヶ月は風の季節です。突風が吹くと家がギシリと軋み、木々がごうごうと騒ぎます。以前は強風で倒れる木もありましたが、最近ではそこまでの突風は吹かなくなりました。でも去年は屋根の一部が吹っ飛びました。停電も多くなります。

 

天気のいい日は林に入って木を切り、薪集めをしています。

外仕事の出来ない日は、家で習字をしたり、本を読んだり、粘土でお地蔵様を作ったりしています。

 

私はここで生きているんだな。生きさせてもらっているんだな。何をしていてもそう感じます。

自分の意思で動ける体に感謝します。

8月は難病で逝ってしまった姉の命日と誕生日の月です。私にとっては特別な月です。

生きている事は本当に尊い、有難い、嬉しい、幸せだと思えます。

 

 

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露天風呂から見上げるさくらんぼの木です