時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

硬かった。心の鍵。

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お天気雨の多いここは良く虹が出ます。

虹が出ると、なんだか嬉しく浮き浮きします。

日本にだって虹は出ます。小さい頃から数えくれないくらい虹を見てきました。そしていつも浮き浮きしてきました。

それなのに虹の絵を描こうとして描けませんでした。色と順番が分からなかったのです。

そして二重に出る虹、副虹の色の配列が逆だったという事にも全く気付きませんでした。

 

それを知った時、物凄く驚きました。

私は嫌な事からいつも目を背けてきました。だから新しい発見や未知なる感動から遠ざかっていました。でも好きな事、気持ちのいい事を遠ざけようとはしてきませんでした。好きな物や人に囲まれた時、心が温かく浮き浮きしていました。それなのにその本質、本当の姿は全然頭に残っていなかったのです。

 

見ているつもりでも、何も見えていない事が多かったと気付きました。

そう思って改めて考えると、あんなに好きだった蓮華の花も、何時も心の支えだった犬たちの姿も、大好きだった人の髪型も、結局何も描き出せないのです。

 

人の顔も名前も覚えるのが苦手で、「やあ、ときこ!」と町でニコニコ挨拶されても、何処の誰が全然思い出せないことが度々あります。頭が悪いからといつも言い訳してきましたが、本当は自分の心が開いていなかったんだと思います。

表面しか見ないで全部見たつもりになっていただけです。

 

折角今ここで生きさせて貰っているのだから、感謝してよく見て、ここにいる今をしっかり頭と心に焼き付けていこうと思います。

 

10月になったというのに、天気が悪くお日様が出ないと寒いです。未だに一日中薪ストーブを焚いています。以前のケチな私なら、薪が勿体無いと我慢して、猫や泊まりにきてくれた友人の悲鳴?さえ無視してきましたが、必要な時に必要なものは使うべきだと気付きました。

今では、必要なものは絶対に不足しない、失った物は必要でない物だったと確信しています。