時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

「な、なんなんだ!ボコボコ」

本来なら一年で一番寒い季節。ところが今年は雨曇りのぐずついた日は多いですが、パタゴニアらしい寒さがありません。
タンクの水が凍った日も、霜柱が立った日も殆どありません。過ごし易いと言えば過ごし易いのですが、何だか拍子抜けした気分です。
冬籠りで鈍った体を動かそうと、先日大きくなり過ぎてずっと気になっていた柳の枝を切りにいきました。家の近くなのですが、普段はあまり行か無い場所です。
前を歩く犬のパクが、突然道をそれ何かをじっと見つめています。
何だろう?と私も覗きに行きました。そしてビックリ。
大きな、といっても直径50cm位の穴がぽっかり空いているのです。
一体いつ誰が何のために?
勿論人が掘ったものではありませんし、我が家の犬達でも無さそうです。
それで気になって家の周りを歩いてみると、大きさは様々でしたが、似たような穴が8個もありました。半分は木の根元で、残りは畑の脇や草の生えた平らな所でした。
中には犬のパクがすっぽり入ってしまうような深さのものもありました。
数年前、猪がやって来た時も幾つも穴を掘られましたが、その時は掘られるというより、耕されると言う感じでしたから、今回は猪ではありません。
では野ウサギ?
でも周りにウサギの糞は見当たりませんし、こんな家の近くなら、我が家の犬達が黙っていないはずです。
あとは昨年から急に増えた野ネズミ。
これなら可能性ありそうです。でもあの小さな体で、どうやってこんな大きな穴を掘るのでしょう?
パタゴニアには日本のように身近に野生動物がいません。僅かにいた狐もいなくなりました。野鳥に関しては悲しくなるほど減りました。だからこの穴を嬉しいとは歓迎できませんが、夜中にこっそりこうして穴を掘っていく動物がいるんだと思うと、なんだかとても愛おしい気持ちになります。
この穴はこのまま埋めずに見守りたいと思います。そしてもう少し範囲を広げて農場の中の穴探しをしてみようと思います。
冬の楽しみがまた一つ増えました。