時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

「家つくり 壁塗り完了」

大工さんのやんやの催促にも関わらず、材木や注文したドアが届きません。12月に入ると国全体が夏の休暇で浮足立ち、来年2月まで物事が進まない アルゼンチンです。一体どうなる事やら・・・。
屋根は付きませんが内外の壁塗りが終わり、電気のスイッチも洗面台も付き、家らしくなってきました。
家の半分は土間、床部分は40cmあげた高床にし、そこに囲炉裏を作る予定です。多分アルゼンチンでは初めての試みでしょう。ですから大工さんに とっても初めての経験です。
日本語教室でことわざ遊びをした時、日本の「縁の下の力持ち」をどうしても理解してもらう事が出来ず苦労しましたが(縁の下がわからないだけ じゃなく、そもそもそういう発想がないのも問題でしたが)、大工さんも同じでしょう。けれども好奇心旺盛、柔軟な頭の持ち主のこの大工さん、私た ちの意見をよく聞いて希望に沿うように家つくりを進めてくれています。
空気の流れを考えて、床下には金網を張った空気穴と壁の一番上には開け閉め出来る小さな窓をつけました。これは私やアルゼンチン人では思いつかな かない発想で、夫がこの家つくりに参加してくれる事になって家つくりの基本をいろいろ勉強でき、本当に良かったと感謝しています。
ところでアルゼンチンでは悲しい事ですが、仕事を人に頼むと余程仲の良い人でない限り、物を勝手に持って行かれたりする事があります。ですからこ の 家つくりを始めた時、「大工さんが働いている時は留守に出来なくて大変だね」と心配してもらいました。でも私たちの場合は正反対で、この大工さん が居てくれるからかえって安心して留守に出来ます。そういう信頼関係を築けた事はアルゼンチンで私たちの宝だと思っています。
そこでこの機会を利用して知り合いの山へゼンマイ採りに行って来ました。車で30分、それからかなり急な山道を上り下りして川を2つ渡り目指すゼ ンマイの生息地へ。
アルゼンチンでは山菜はまず食べません。ですからこのゼンマイも誰も食べられるものだと思っていませんでした。野菜にしても殆ど生食ですから、あ く抜きして料理して食べる面倒はご免こうむりたいのかもしれません。かくゆう私もゼンマイ採りは初めてでした。
時期が良かった事もあり、わさわさ採れました。こちらではクマやサルなどの野生動物に出会う事も無く、寂しい反面安心してゼンマイ採りに集中出来 ました。その夜はゼンマイのてんぷらと油炒めを肴にどぶろくで乾杯。残りはストーブから出る草木灰であく抜きし乾燥保存させました。このゼンマイを炉裏端 で食べる楽しみが出来ました。
料理べたな私ですから、新築祝いでの宴には美味しく食べられるように、今からしっかり料理の勉強しておかなければと思っています。
家は外装は大工さんにお願いしますが、囲炉裏やかまど、土間のたたき、外のトイレ(バイオトイレの研究中です)は自分たちでこつこつやっていく予 定です。一緒に作る仲間募集しています。家つくりって思った以上に大変でしたがそれ以上面白いですね。