時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

「一緒にやろうよ。家つくり、登り窯つくり」


アカゲラの子供たちがやって来て、猫柳の花が咲き、冷たかったアンデス山脈からの風がふっと柔らぐ瞬間に私は冬の終わりを感じ、水仙の花が咲き、果樹の花のつぼみが膨らみ、みそ汁の具にタンポポの葉を摘むようになると春の訪れを感じます。
朝真っ白に霜が降りる日も、冷たい雨にストーブが絶やせない日もまだまだありますが、パタゴニアにも春は確実にやってきています。
9月にはいり、私の家つくり計画もかなり具体性を増してきました。資材、材木は購入し、建設が始まったら運んで来てもらう手筈を整えました。実際に家つくりをしてくれる大工さんは冬の休暇でヨーロッパ旅行中なので、具体的な話し合いは10月に入ってからとなります。ですから今は囲炉裏をどんな形で、どこに作るか、窓の位置や大きさ、暖房施設はかまどかストーブか、どんな方法にするか・・・自分がその家に住んでいる姿を一所懸命イメージしています。
一人で全てやる筈でしたが、夫が手助けしてくれる事になり、内心ホッとし心強く思っています。でもこれは私が踏み出した一歩です。今までの様な頼りっきり、任せっきりにはせず、学びながら自分で責任を持って行こうと決めています。家を作るって、日本ではいろんな法律の規制があるようですし、ここアルゼンチンにも面倒くさい手続きがあります。エルボルソンの町ではその手続きの煩雑さ、税金の高さに辟易して諦める人もいるようです。
もちろん私たちも例外ではないのですが、そこはアルゼンチンの良さ?人脈と経験豊かな大工さんの御蔭で、煩わしい手続きもせず、法には触れず、賄賂も払わず、小さいながらも自分たちで考えた一軒家を建てる事ができます。
家つくりなんて自分が参加するものだとは考えてもいませんでした。でも家を作る場所を選び、方角を決め、内装を考えていくと、どんどん夢が膨らんで楽しくなってきました。そしてまだ見ない家が可愛く、いとおしく思えてきました。
私が住む為だけじゃなく、ここで元気や自信を取り戻す人、ここを大切にしてくれる人、ここで何かを感じてくれる人、ここを第二の故郷のように思っ てくれる人、ここが大好きになってくれる人・・・そんな人たちが気軽に来れる家、みんなを暖かく迎えてくれる家になれば良いと思います。
義父から十年以上前に贈ってもらった自在鉤。ずっと倉庫に眠っていましたが、今年中には囲炉裏の上で活躍する日が来そうです。
家つくりと同時進行で、20個以上の窯作りを経験した夫が小さな登り窯作りをする予定です。
この先私が一人で窯を作る事は無いかもしれませんが、窯焚きはします。ですからこちらも大いに勉強させてもらいながら窯つくりに参加します。
経験未経験関係なく、誰でも何時でも短期でも参加できます。宿泊は我が家で出来ますし、町には貸別荘やホテル、民宿もあります。興味のある方は取敢えず気軽にご連絡ください。
こんな経験滅多に出来ないから、やれる時に、やれる事を一生懸命やってみたいと思っています。そしてそんな私の思いを分かち合える仲間が少しでも 多くいたら、きっともっと楽しいだろうなと思っています。