時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

「そそり立つ大岩、ピエドラパラーダ」

nojomallin2008-02-10

「ピエドラパラーダ」という名前はパタゴニアに暮らし始めて直ぐに耳にしました。大巨人がそこに一個だけ岩をポンと置いたかの様にそびえ立って居るというのです。乾燥地のど真ん中にあり、エルボルソンから180km先のエスケルまで行き、そこから内陸部に約120km入った所に立っているのです。
「迫力のある岩」「どうして200mもあるその岩がそこに立っているのか謎」
などと話すのを聞いて行ってみたいとは思っていましたが、その遠さに後込みしていました。
それがエルボルソンの登山グループの友人に誘われて、夫が一泊のキャンプでいく機会があったのです。そして、結構ハードだけれども十分日帰りできる距離だと分かり、また焼き物の自然材料になりそうな面白そうな岩や石が周りにあったので、是非個人的に来てみたいと思ったのです。
昨年の初夏、私達は朝早くお弁当と大量の飲み水を持って出掛けました。木のない乾燥地は熱風が吹き付け、砂埃が舞い、かなり辛いドライブでした。でも、ピエドラパラーダに近づくにつれ、周りに青や赤、黄色の不思議な形の岩山が広がり、日本では見ることの無かった風景に目が釘付けになりました。
「もうそろそろだ。」
方向音痴の私と違って、一度見た景色は殆ど忘れない夫が言うのですが、なかなか一枚岩が見えてきません。
「おかしいなあ・・・。」
と思い始めた時、「ああ、あれだあれだ。」と夫がほっとしたように叫びました。
一枚岩がそそり立って居るといっても、何もない乾燥地にその岩だけがぽつんと有るのではなく、少し離れた所は岩山が連なっています。ちょうど日の射し加減で後の岩山と一枚岩が重なって見えなかったのです。
車の中から見たときは、「ああ、あれかあ・・・。」と期待していた割には拍子抜けの気がしました。でも、近づくにつれ「凄い。」とその岩の迫力が伝わってきたのです。
歩いて近くまで行って、益々その大きさに圧倒されました。
私は子供の頃から物を考える事が苦手で、探求心にも薄いので、「いやあ〜凄い。大きい。迫力あるわあ〜。ホント、これだけがぽつんと立っていて不思議だわあ〜。」と単純に驚き感動するだけでした。
この近辺は鉱石や化石、貴石を探しに来る人もいます。激減していますが野生の南米ダチョウも生息しています。
乾燥地の荒涼とした風景は「美しい自然」とは思えず、心が癒される事はありませんが、「どうしてこんな風景が続くんだろう?以前はどうだったんだろう?ここに緑を復活させるにはどうすればいいんだろう?」と普段使わない頭を使うきっかけになります。
夫がキャンプした時は周りに何も無かったそうですが、私と行った時には道路沿いに牧柵が張られていました。そして今年は「入場料」を払わなければ行けなくなったそうです。
もし自分の敷地にこんな岩があって、勝手に人が入り込んできたら迷惑だからそれも仕方ないかなあ・・・と思うのですが、ここが大観光地に変わってしまうのは残念だと思う気持ちもあります。
でも、周りがどう変わろうとも、あの大岩ピエドラパラーダは“でん”と大地に踏ん張って、小さな人間を見下ろしていくことでしょう。


エドラパラーダは自家用車以外で行くのは可成り難しい所です。エスケルの町の個人タクシーに相談、交渉をしてみて下さい。今回は詳しい情報が無くて申し訳有りません。
どうしても行ってみたい!!と思われる方は私達に相談してもらっても構いません。