時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

気持ちの持ち方を変えるということ

nojomallin2005-10-29

つやつやと白い蕾を膨らませ、一番に春の訪れを告げていたネコヤナギも、今では緑の葉を風に揺らしています。
のうじょう真人も、やっと新緑の緑の絨毯に覆われ、一面のタンポポの花が、太陽を浴びながら鮮やかに黄色く光っています。
スモモとサクランボの花びらが、パタゴニア特有の強い西風に連れて行かれ、はらはら舞い散る中、リンゴの濃いピンクの花が満開です。
引っ越した当初は、花の咲くリンゴは一本だけだったのに、今年は「あっ、ここにも」「あっ、あそこにも」と、自然に芽をだしたもの、記念に頂き植樹した“ふじ”など、あちこちで花が咲いています。
親友だったローウエンさんの形見となってしまった、カリンと桃も、蕾が大きく膨らんできています。
今年は種まきが遅れたけれど、空豆とエンドウ豆が、タンポポや草達の間から、葉を広げ伸びてきました。
犬の天和が、草の上で仰向けに寝転がり、お日様を体中で受け止めて気持ち良さそうです。
猫達もじゃれ合いながら木に掛け登ったり、草むらに潜んで、根気よく小鳥を狙ったりしています。
アンデスの山頂に残った雪が、溶けたり、凍ったりを繰り返してか氷の様につやつやになり、日中はそこだけ浮き上がった様に眩しく輝いています。
洗濯物も外で、春の空気をいっぱい吸い込んで、気持ちよく乾きます。
一日一日が昨日と全く違います。毎日が嬉しい発見の連続です。
騒音が増える、砂埃が舞い上がる、山火事の心配が増える、水不足に困る・・・。ずっと、私にとって春は「不安をかき立てる」季節でした。
でも自然は、こんなにも私の周りを楽しい気配で包んでくれていたのです。
こんな綺麗な春を、まだ来もしない「不安」で過ごすなんて、勿体ない。遅ればせながらやっと気づいた私です。