時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

冬の自然から元気を分けてもらうということ

nojomallin2005-05-17

今日は雨。昨日も一昨日も、その前も、マジン村に雨が降り続いています。
時々アンデスの谷間からゴゴーッともの凄い風が、秋の名残の僅かに残っていた黄葉したポプラや柳の葉、枝の高い所に付いていたりんごを道連れに吹き抜けて行きます。
私の大好きな大好きな冬の始まりです。
若草の萌える春も、花の咲き乱れる夏も、実りの秋も、それぞれ味わい深く好きですが、私はパタゴニアの厳しい冬がとりわけ気に入っています。いろんな人が「何もない辛く長い冬」「厳しく寂しい生活」「大変そう」と言う度に「一番自然を近くに感じられる素敵な冬なのに」と不思議に思うのです。停電が続いたり、道がぬかるんだり、突風に屋根の一部が吹き飛ばされたり、水が凍ってしまったりすると、これぞパタゴニアの冬!とその醍醐味を感じられて楽しいものです。
そして何より私を感動させてくれるのは、雪のアンデスの美しさです。厚い雲が、ほんの一瞬途切れた時に姿を見せるアンデス山脈。降り積もったばかりの雪は、山頂では碧白く輝き、麓に向かうにつれ雪の白が山の深緑と混ざり合って淡く変化していきます。紅葉で紅く染まっていた山が、突然全く違う表情で現れると、瞬きするのさえもったいない気がするのです。
楽しいことと同じ位、悲しいこと、落ち込むことはあります。でも、澄んだ冷たい空気の中で雪をかぶった山を見ていると、体の真ん中、心の底から元気がむくむく湧いて来るのです。そして体中が元気で一杯になると、全てが楽しくなってくるのです。
ここで暮らしている人でさえ「何もない長い退屈な冬」と言うけれど、私には「綺麗で、面白い事がいっぱいあって、楽しい素敵な冬」です。