時子のパタゴニア便り

1994年パタゴニア アンデス山脈の麓の村の5’5ヘクタールの土地に移住。ささやかな自然との暮らしの中で感じた事を書いていきます。

種を播き続けるということ

nojomallin2005-02-18

2月8日、この時期には珍しくまとまった雨が降りました。カラカラに乾いていた大地がぐん、ぐぐんと雨を吸っていき、木も草も久しぶりの天のシャワーにほっと一息吐いています。湿気が無いので、木陰では涼しいのですが、直射日光は“強い”を通り越して“痛い”と感じます。「ほんの少し」のつもりで帽子をかぶらず外に出て、吐き気と頭痛で寝込んでしまった事が何回もあります。
さて、
「そろそろ麦播きを」と考えていた私にとっても、この雨は正しく天の恵み。
福岡先生の元で実習をしたダミアン青年と知り合えたことから、昨年6月に福岡先生から「わら一本の革命―総括編―粘土団子の旅」の本が届くという夢の様な出来事がありました。そして「稲、麦、雑穀の穂播きを」というメッセージを頂きました。機械刈り、粒播きが常識のこの国で「何のために?」「それでは発芽しない」「無駄が多くなる」と反応は様々ですが、私はこのメッセージを機会或る毎に人に語っています。
私は勿論、穂のままで播きました。でも悲しいかな、ほんの一瞬で終わってしまう量の収穫しかなく、残りは近所の農家から買った麦を粒播き、ばら播きしました。
麦だけでなく、大根もレンズ豆も、手に入る種は可能な限り莢付き殻付きでばら播くつもりです。なぜなら、自然はそうしているからです。ここに人が住み始めてから、何十年も耕し有機肥料を入れ続けた土地が自然に還るには時間がかかります。でも、自然を裏切らず、楽しんで種を播き続けていけば、いつか必ずパタゴニアに、自然農法の楽園が出来ると信じています。